コラム

沖縄住宅着工2026年4月|貸家平均628戸、全住宅は1,000戸台目前

沖縄住宅着工2026年4月|貸家平均628戸、全住宅は1,000戸台目前

目次

沖縄の住宅着工は回復が続いているのでしょうか?

2026年4月の沖縄県新設住宅着工統計では、貸家の回復がもう一段進みました。

一方で、全住宅の単月は前年同月を下回っています。
数字の見方を間違えると、市場全体が強いのか弱いのか判断しにくい月です。

まず結論から。貸家は強く、全体はあと一歩です

2026年4月の沖縄県の住宅着工は、貸家の供給回復が目立つ月になりました。

前月のレポートで注目していた2指標の結果を先にお伝えします。

① 貸家の3か月移動平均:536.0戸から628.0戸へ増加し、500戸台維持どころか600戸台まで上昇しました。

② 全住宅の3か月移動平均:914.0戸から997.7戸へ増加し、900戸台は維持しました。
ただし、1,000戸台にはあと2.3戸届いていません。

単月では、貸家着工が595戸、前年同月比+20.4%。全住宅着工は901戸、前年同月比-12.9%でした。
つまり、4月は「貸家は強いが、市場全体の本格回復は確認待ち」と見るのが自然です。

なぜ貸家の600戸台回復が重要なのでしょうか?

貸家の着工戸数は、将来の賃貸供給量を読むための先行指標です。
供給が増えれば、数か月から数年後の空室率や家賃競争に影響します。

2026年4月の貸家着工は595戸でした。
単月では3月の732戸を下回りましたが、3か月移動平均は628.0戸まで上がっています。

貸家の主要指標

指標
対象月 2026-04
貸家着工戸数 595戸
総床面積 29,895㎡(戸当たり50.2㎡/戸)
貸家比率(全住宅比) 66.0%(3か月移動平均63.0%)
3か月移動平均 628.0戸(前年同期比+47.5%)
前年同月比 +20.4%

ではなぜ、600戸台が大事なのでしょうか。

3か月移動平均(直近3か月の平均)は、単月のブレをならして基調を見る指標です。
2026年1月は436.7戸でしたが、4月には628.0戸まで上がりました。

これは、賃貸住宅の供給が一時的な停滞から抜け、回復の厚みが増してきたことを示します。
ただし、供給増は将来の競合増にもつながるため、オーナーや投資家は競争環境の変化として見る必要があります。

直近12か月の貸家着工戸数

月ごとの振れが大きいため、単月だけでなく3か月移動平均で見ることが重要です。

年月 着工戸数 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 貸家比率 3か月移動平均 前年同期3か月移動平均比
2025-05 162 10,473 64.6 39.9% 388.7 -9.3%
2025-06 302 19,155 63.4 46.9% 319.3 -40.1%
2025-07 453 23,542 52.0 58.0% 305.7 -45.8%
2025-08 346 19,012 54.9 42.4% 367.0 -28.5%
2025-09 639 29,602 46.3 60.6% 479.3 -0.3%
2025-10 541 29,571 54.7 52.3% 508.7 +17.6%
2025-11 384 23,340 60.8 43.9% 521.3 +9.8%
2025-12 607 34,932 57.5 61.4% 510.7 +22.8%
2026-01 319 15,993 50.1 49.1% 436.7 +22.4%
2026-02 557 33,094 59.4 60.9% 494.3 +71.8%
2026-03 732 48,076 65.7 62.2% 536.0 +53.0%
2026-04 595 29,895 50.2 66.0% 628.0 +47.5%

3か月移動平均は、2026年2月の494.3戸、3月の536.0戸、4月の628.0戸と連続して改善しました。

貸家比率も単月で66.0%となり、4月の住宅着工では賃貸向け供給がかなり強い位置を占めています。

全住宅はほぼ1,000戸台。でも本格回復と言えるのでしょうか?

全住宅は、貸家だけでなく持家や分譲も含めた市場全体の動きです。
建設需要の強さを見るには、この指標が欠かせません。

2026年4月の全住宅着工は901戸でした。
前年同月比は-12.9%とマイナスですが、3か月移動平均は997.7戸まで上がりました。

全住宅の主要指標

指標
対象月 2026-04
全住宅着工戸数 901戸
総床面積 59,947㎡(戸当たり66.5㎡/戸)
3か月移動平均 997.7戸(前年同期比+7.1%)
前年同月比 -12.9%

つまり、平均では1,000戸台にほぼ届いた一方、単月では前年を下回っています。

3月時点の確認ポイントだった900戸台維持は達成しました。
しかし、1,000戸台で安定したとはまだ言い切れません。

直近12か月の全住宅着工動向

全住宅は3か月平均で見ると改善していますが、単月の901戸は強い数字とは言い切れません。

年月 全住宅着工 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 前年同月比 3か月移動平均 前年同期比(3か月MA)
2025-05 406 35,005 86.2 -49.5% 865.0 +13.1%
2025-06 644 49,713 77.2 -33.1% 694.7 -20.4%
2025-07 781 55,397 70.9 -18.2% 610.3 -32.7%
2025-08 816 57,883 70.9 +9.7% 747.0 -15.8%
2025-09 1,055 72,227 68.5 +30.2% 884.0 +5.7%
2025-10 1,035 77,810 75.2 +14.2% 968.7 +18.1%
2025-11 875 69,883 79.9 +14.2% 988.3 +19.5%
2025-12 988 74,896 75.8 +15.2% 966.0 +14.5%
2026-01 650 46,035 70.8 +24.5% 837.7 +17.1%
2026-02 915 67,629 73.9 +51.2% 851.0 +28.6%
2026-03 1,177 90,121 76.6 +1.9% 914.0 +20.2%
2026-04 901 59,947 66.5 -12.9% 997.7 +7.1%

2026年4月の3か月移動平均997.7戸は、1,000戸台まであとわずかです。

ただし、単月では前年同月比-12.9%です。
持家や分譲を含む市場全体では、貸家ほど一枚岩の回復ではない点に注意が必要です。

長期で見ると、供給過多局面とは違う形です

短期では貸家の回復が目立ちます。では、長期の需給バランスではどうでしょうか。

2025年の着工/世帯純増倍率は1.1倍でした。
これは、世帯増加に対して住宅着工がやや上回る程度です。

過去のピーク局面のような強い供給過多とは違い、長期ではおおむね均衡圏にあります。

長期年次トレンド

人口(万人) 世帯数(万) 世帯純増 全住宅着工 うち貸家 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 着工/世帯純増(倍)
2007 137.3 50.2 5,972 10,876 7,307 497,955 68.1 1.8
2008 137.7 50.8 5,666 12,300 7,570 472,570 62.4 2.2
2009 138.5 51.4 6,133 11,747 8,292 546,683 65.9 1.9
2010 139.3 52.0 6,324 10,709 7,381 452,286 61.3 1.7
2011 140.3 52.9 8,924 11,828 7,547 476,517 63.1 1.3
2012 141.2 53.6 7,257 12,713 8,253 496,611 60.2 1.8
2013 141.9 54.3 6,812 16,618 10,772 640,892 59.5 2.4
2014 142.6 55.1 7,541 15,426 10,914 637,717 58.4 2.0
2015 143.4 56.0 9,699 16,136 10,726 553,986 51.6 1.7
2016 144.2 57.1 11,067 16,201 11,135 551,688 49.5 1.5
2017 144.7 58.1 9,939 16,591 11,263 546,466 48.5 1.7
2018 145.3 59.2 10,667 16,803 11,282 530,020 47.0 1.6
2019 146.1 60.5 12,528 15,098 9,227 470,078 50.9 1.2
2020 146.7 61.5 10,083 10,703 5,683 317,123 55.8 1.1
2021 146.9 62.3 8,455 9,668 4,399 240,276 54.6 1.1
2022 146.9 63.2 8,919 9,179 3,647 225,547 61.8 1.0
2023 146.8 64.1 9,266 10,183 4,417 262,924 59.5 1.1
2024 146.7 65.1 10,027 9,703 5,202 281,336 54.1 1.0
2025 146.6 66.0 8,645 9,916 4,979 281,134 56.5 1.1

2013年から2018年にかけては、着工/世帯純増倍率が高い年もありました。
2025年の1.1倍は、それらの時期と比べると落ち着いた水準です。

ただし、2026年4月の貸家3か月移動平均は628.0戸まで上がっています。
短期の回復が年次の需給バランスにどう響くかは、今後の確認点です。

全国比較では、沖縄の特徴がまだ残っています

沖縄は全国と比べると、貸家比率が高い地域です。
2025年も沖縄の貸家比率は50.2%、全国は43.9%でした。

ただし、2025年の貸家指数は沖縄87.6、全国105.9です。
貸家の回復度合いだけを見ると、沖縄は全国より弱い位置にあります。

全国比較

総着工指数(沖縄) 総着工指数(全国) 貸家指数(沖縄) 貸家指数(全国) 貸家比率(沖縄) 貸家比率(全国) 貸家比率前年差(沖縄) 貸家比率前年差(全国)
2007 101.6 130.1 128.6 102.6 67.2% 29.7% -1.6% -1.4%
2008 114.9 134.1 133.2 103.8 61.5% 29.1% -5.6% -0.6%
2009 109.8 96.7 145.9 92.8 70.6% 36.1% +9.0% +7.0%
2010 100.1 99.7 129.9 99.5 68.9% 37.5% -1.7% +1.4%
2011 110.5 102.3 132.8 99.6 63.8% 36.6% -5.1% -0.9%
2012 118.8 108.3 145.2 101.6 64.9% 35.3% +1.1% -1.3%
2013 155.3 120.2 189.5 115.7 64.8% 36.2% -0.1% +0.9%
2014 144.1 109.4 192.0 93.0 70.8% 32.0% +5.9% -4.2%
2015 150.8 111.5 188.7 92.4 66.5% 31.2% -4.3% -0.8%
2016 151.4 118.6 195.9 95.3 68.7% 30.2% +2.3% -0.9%
2017 155.0 118.3 198.2 92.7 67.9% 29.5% -0.8% -0.7%
2018 157.0 115.6 198.5 92.3 67.1% 30.1% -0.7% +0.6%
2019 141.1 111.0 162.4 94.1 61.1% 31.9% -6.0% +1.8%
2020 100.0 100.0 100.0 100.0 53.1% 37.6% -8.0% +5.7%
2021 90.3 105.0 77.4 93.1 45.5% 33.3% -7.6% -4.3%
2022 85.8 105.4 64.2 112.5 39.7% 40.1% -5.8% +6.8%
2023 95.1 100.5 77.7 112.1 43.4% 42.0% +3.6% +1.8%
2024 90.7 97.2 91.5 111.5 53.6% 43.2% +10.2% +1.2%
2025 92.6 90.8 87.6 105.9 50.2% 43.9% -3.4% +0.7%

沖縄は貸家比率が全国より高い一方、2025年は前年差で低下しています。全国とは少し違う動きになっています。

着工密度の比較

人口1万人当たり(沖縄) 人口1万人当たり(全国) 世帯1万当たり(沖縄) 世帯1万当たり(全国)
2007 79.2 82.8 216.6 211.4
2008 89.3 85.6 242.3 215.6
2009 84.8 61.8 228.6 153.7
2010 76.9 63.5 205.9 156.8
2011 84.3 65.3 223.5 159.9
2012 90.1 69.2 237.0 168.2
2013 117.1 76.9 305.9 185.6
2014 108.2 70.1 280.1 167.9
2015 112.6 71.5 287.9 170.1
2016 112.4 76.2 283.5 179.5
2017 114.6 76.1 285.3 177.5
2018 115.6 74.5 283.8 172.0
2019 103.3 71.7 249.7 163.8
2020 72.9 64.9 174.1 146.4
2021 65.8 68.2 155.1 152.4
2022 62.5 68.8 145.2 151.6
2023 69.3 65.9 158.8 143.3
2024 66.1 64.0 149.0 137.3
2025 67.6 60.1 150.2 127.3

世帯1万当たりで見ると、2025年の沖縄は150.2戸、全国は127.3戸です。
人口・世帯規模に対しては、沖縄の供給密度はまだ高めです。

この回復は貸家中心の回復なのでしょうか?

2026年4月は、貸家の3か月移動平均が600戸台に乗りました。これは前向きな変化です。

ただし、全住宅の単月は前年同月比マイナスでした。
市場全体が全面的に強いというより、貸家が全体を押し上げている月です。

次月に見るべきポイントは2つあります。

① 貸家の3か月移動平均が600戸台を維持できるか
② 全住宅の3か月移動平均が1,000戸台に乗るか

賃貸オーナーにとっては、供給増が競合増につながるかが気になるところです。
投資家にとっては、貸家中心の回復が実需を伴っているかを見る必要があります。

次月の数字は、沖縄の住宅供給が本格回復へ進むのか、それとも貸家中心の一時的な押し上げなのかを判断する材料になりそうです。

※出典:沖縄県土木建築部 建築指導課 住宅着工統計(月次)、国土交通省 建築着工統計調査 住宅着工統計(e-Stat 統計コード: 00600120)

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