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  • 沖縄景気は33カ月連続拡大。でも不動産オーナーが見落とせない「弱い数字」

    沖縄景気は33カ月連続拡大。でも不動産オーナーが見落とせない「弱い数字」

    りゅうぎん総合研究所が公表した「県内の景気動向(2026年5月)」をもとに、不動産投資家・オーナーの視点から読み解いた記事です。

    対象は2026年5月の月次資料ですが、この記事の目的は速報ではありません。景気レポートの数字を、物件の収支、募集、修繕、競合供給にどう落とし込むかを整理することです。
    観光、住宅着工、建設、物価を分けて読む視点は、次回以降のレポートや自分の物件エリアを見るときにも使えます。

    「景気は拡大」と聞いたとき、どの数字まで確認しますか

    同資料では、沖縄県内の景気判断が「緩やかに拡大している」とされました。33カ月連続の拡大判断です。

    ただし、不動産の目線では、明るい総評だけでは足りません。入域観光客数は54カ月ぶりに前年を下回り、新設住宅着工戸数は9カ月ぶりに減少し、建設受注額も7カ月ぶりに減少しました。新規求人数も12カ月連続で前年を下回っています。

    一方で、入域観光客数は5月として過去3番目の水準で、国内客と空路は増えています。住宅着工は総数では減っても、貸家は前年同月比20.4%増です。

    この記事では、りゅうぎんレポートに出ている「景気拡大の中に混じる弱い数字」を、不動産投資家・賃貸オーナーがどう読むかに絞って整理します。

    景気拡大の中に、前年割れの数字がいくつも混じっている

    今回まず押さえたいのは、総評と個別指標の温度差です。全体としては33カ月連続の拡大判断ですが、個別には前年を下回る数字が複数あります。

    観光関連では、2026年5月の入域観光客数が83万2,500人で、前年同月比1.2%減でした。建設関連では、2026年4月の新設住宅着工戸数が901戸で前年同月比12.9%減、建設受注額も前年同月比15.5%減です。

    雇用面でも、新規求人数は2026年4月に前年同月比2.7%減となり、12カ月連続で前年を下回りました。物価面では、消費者物価指数が前年同月比2.3%上昇し、57カ月連続で前年を上回っています。

    景気判断は全体の方向を示しますが、物件収支に効くのは、観光客の内訳、貸家供給、建設コスト、求人、物価といった個別の数字です。ここを分けて読むことが大切です。

    観光は弱くなったのではなく、客層と導線が分かれている

    入域観光客数の54カ月ぶり前年割れは、見出しだけなら弱いニュースに見えます。ただし、レポートの中身を見ると、観光需要が一気に失速したとは言い切れません。

    2026年5月の入域観光客数は83万2,500人で前年同月比1.2%減でしたが、5月としては過去3番目の水準です。国内客は61万2,600人で同1.9%増、空路も79万8,100人で同5.7%増でした。

    一方で、外国客は21万9,900人で同9.0%減、海路は3万4,400人で同60.7%減です。クルーズ船の寄港減少などが影響しています。

    不動産への示唆は、「観光が弱くなった」ではなく、「観光需要の出方が分かれている」と読むことです。観光地周辺の不動産を見る場合は、観光客数の総数だけでなく、国内客、外国客、空路、海路のどれが動いているのかを分けて確認したいところです。

    住宅着工は減少。でも貸家だけは増えている

    賃貸オーナーにとって、今回もっとも実務に近い数字は新設住宅着工戸数の内訳です。2026年4月の新設住宅着工戸数は901戸で、前年同月比12.9%減でした。

    ただし、貸家は595戸で前年同月比20.4%増です。一方、持家は130戸で同31.2%減、分譲は175戸で同49.0%減、給与住宅は1戸で同87.5%減でした。住宅着工全体を押し下げたのは持家や分譲であり、賃貸市場に関係しやすい貸家は増えています。

    さらに、2026年2月から4月までの3カ月で見ると、新設住宅着工戸数は前年同期比7.1%増です。建築着工床面積も2026年4月単月では前年同月比3.4%減ですが、2026年2月から4月では前年同期比24.3%増でした。

    つまり、「住宅着工が減ったから供給が細る」と単純には言えません。賃貸オーナーは、総戸数よりも貸家着工を見て、将来の競合供給や募集条件への影響を確認する必要があります。

    建設受注・求人・物価は、修繕と運営コストに効く

    建設関連も、総額だけでは読み切れません。公共工事請負金額は2026年5月に前年同月比25.5%減、2026年3月から5月までの3カ月でも前年同期比16.2%減でした。県内主要建設会社17社の建設受注額も、2026年5月に前年同月比15.5%減です。

    ただし、発注者別では公共工事が前年同月比60.5%減だった一方、民間工事は同19.4%増でした。公共工事は発注タイミングで振れやすいため、単月だけで判断せず、民間需要や手持ち工事の動きも見る必要があります。

    雇用と物価も収支に関係します。新規求人数は2026年4月に前年同月比2.7%減で、12カ月連続の前年割れでした。一方、有効求人倍率は1.12倍です。雇用の伸びが鈍い中で物価が上がると、家計の余裕は圧迫されます。

    消費者物価指数は前年同月比2.3%上昇し、57カ月連続で前年を上回りました。賃貸経営では、物価上昇が家賃より先に清掃、修繕、設備交換、保険、管理委託費へ出ることがあります。

    弱い数字を見つけたら、自分の物件で5つ確認する

    弱い数字を見つけたときは、すぐ悲観せず、内訳と時間軸を確認します。観光なら国内客、外国客、空路、海路。住宅着工なら貸家、持家、分譲。建設なら公共と民間を分けて見ます。

    単月だけでなく、3カ月程度の流れも重要です。住宅着工は2026年4月単月では前年同月比12.9%減ですが、2026年2月から4月では前年同期比7.1%増でした。

    賃貸オーナーや不動産投資家が確認したいのは、次の5つです。

    • 物件周辺の貸家供給。近隣の新築募集、築浅物件の賃料、駐車場台数、設備水準を確認する。
    • 観光需要の影響を受ける物件か。空路・海路、国内客・外国客の内訳が効く物件かを分ける。
    • 修繕費の見積もり。台風、塩害、屋上防水、外壁、設備交換の費用を見直す。
    • 入居者の家計負担。物価上昇時の家賃改定や募集賃料が空室期間にどう影響するかを見る。
    • 単月ではなく3カ月の流れ。弱い数字が一時的か、続いているかを確認する。

    景気拡大の中で、選別が始まっていると読む

    2026年5月のりゅうぎんレポートは、沖縄景気の底堅さを示す一方で、不動産判断に必要な「弱い数字」も多く含んでいます。入域観光客数は前年割れでも高水準、住宅着工は総数減でも貸家増、建設受注は総額減でも民間増です。

    これは、沖縄市場が一律に弱くなったという話ではありません。同じ景気拡大の中でも、客層、建物用途、供給タイプ、コスト構造によって差が出始めていると読めます。

    不動産オーナーにとって大切なのは、「景気が良いから大丈夫」と見ることでも、「弱い数字が出たから危ない」と見ることでもありません。弱い数字の中身を分解し、自分の物件の収支、募集、修繕、競合供給にどう関係するかを確認することです。

    りゅうぎんレポートは、沖縄経済の大きな流れを見る資料であると同時に、物件ごとの判断に落とし込むためのヒントにもなります。
    今回の数字も、自分の物件や検討エリアを見直すきっかけとして活用できます。

    ※出典
    りゅうぎん総合研究所「県内の景気動向 概況(2026年5月) / りゅうぎん調査(2026年5月)」

  • 2026年4月の沖縄不動産市場温度計|総合判定「弱含み」の背景と投資家への示唆

    2026年4月の沖縄不動産市場温度計|総合判定「弱含み」の背景と投資家への示唆

    【データについて】
    本記事は2026年4月の統計データをもとに作成しています。
    住宅着工統計は約3〜4か月の公表ラグがあり、最新月のデータが揃った時点で分析・執筆を行うため、公開時期と統計月にずれが生じます。
    データが示すトレンド(方向感・継続月数)の読み方は、公開時点でも参考になるものとして掲載しています。

    沖縄の不動産市場、2026年4月は何が変わった?

    家賃は簡単に上げにくい。
    でも、修繕費や借入コストはじわりと上がっている。

    「このままの収支計画で大丈夫なのか」「空室が増えたら返済は重くならないか」と感じているオーナーも多いはずです。

    「空室は増える?」「借入コストはどこまで重い?」「賃料は上げられる?」
    実需・供給・コスト・賃料収益性の4つの指標を確認すると、2026年4月の沖縄不動産市場で何が起きているかが見えてきます。

    まず結論から

    2026年4月の沖縄不動産市場温度計は、総合スコア 22.9/100、判定は 弱含み です。

    1つ目は、持家着工に表れた新築供給の慎重さです。
    持家着工3か月移動平均前年比(短期のブレをならす数字)は -33.44% と大きく前年を下回り、指標上は「需要低迷」となりました。
    ただし、これは住宅需要全体を直接示すものではなく、新築住宅の供給が慎重になっている可能性として見る必要があります。

    2つ目は、賃貸新規供給の強さです。
    貸家着工3か月移動平均前年比は +47.53% で、供給拡大方向が6か月継続しています。
    すぐに空室が増えるという意味ではありませんが、今後の募集競争には注意が必要です。

    3つ目は、投資コストの重さです。
    沖縄地銀短期プライムレート(変動金利の基準)は 2.825% で、建築費前年比も +2.23% と上昇しています。
    修繕費については、経年劣化や退去時の貸主負担分は手取り収益を圧迫しやすい点に注意が必要です。

    4つ目は、賃料・収益性の中立感です。
    賃料・収益性は 41.7/100 の「収益中立」で、賃料改定余地は小さい一方、修繕費の上昇が手取り収益を圧迫しやすい状態です。

    全体としては、新築供給の慎重さ、賃貸供給増、借入コスト上昇が重なり、賃料面だけでは補いにくい月と読めます。
    収支を守るには、家賃を上げるかどうかだけでなく、空室リスク、修繕時期、借入条件をセットで見る必要があります。

    4つの軸で読む今月の変化

    新築供給の動き(持家着工)

    持家着工3か月移動平均前年比は -33.44% でした。

    3か月移動平均とは、直近3か月の平均でならした数字です。
    前年比は、去年の同じ月との比較です。持家着工は、自分で住む家の新築着工を中心に見る指標です。
    前年より大きく少ないからといって、住宅需要全体が弱いと断定するのではなく、新築住宅の供給が慎重になっている可能性として読むのが自然です。

    方向感は悪化で、継続は2か月です。
    まだ長期的な冷え込みと断定する段階ではありませんが、前月に続いて新築着工の鈍さが確認されているため、次月に持ち直すかどうかが重要です。
    背景には、建築費や土地価格の上昇により、建築会社や分譲事業者が計画を慎重に進めている可能性もあります。

    売却への影響は、物件種別ごとに分けて見る必要があります。
    着工数の減少だけを見て「買い手が少ない」と短絡的に判断するのではなく、新築供給、中古需要、収益物件の投資需要を分けて確認することが大切です。

    売却する物件の種類 着工数を見るときの注意点
    新築建売と競合する土地や築浅住宅 新築価格や供給量との比較を受けやすく、価格設定や販売期間を慎重に見る必要があります。
    価格優位性のある中古住宅 新築価格が上がる局面では、中古住宅や中古マンションが現実的な選択肢として見直される可能性があります。
    収益物件 持家着工よりも、賃料、空室率、期待利回り、融資条件の影響を重視する必要があります。
    建築費の影響を受ける土地 建物込みの総予算が重くなり、買主の検討が慎重になる可能性があります。

    売却時には、持家着工だけでなく、周辺の成約事例、売出在庫、販売期間、価格帯、エリア特性を合わせて確認する必要があります。
    ICや幹線道路にアクセスしやすい物件、生活利便性が高い物件、管理状態の良い物件では、県全体の着工数の鈍さがそのまま個別物件に当てはまらない場合もあります。

    沖縄では家族や地縁との結びつきから、数字だけでは説明しにくい購入判断もあります。
    相続した土地や実家近くの物件などは、単純な利回りだけでなく、家族内の合意や将来の使い道が売却判断のハードルになることがあります。

    賃貸物件はどれだけ増えているか(賃貸新規供給圧力)

    貸家着工3か月移動平均前年比は +47.53% です。

    貸家着工が増えるということは、今後12〜18か月後に市場へ出てくる賃貸物件が増えやすい、という意味です。
    すぐに空室率へ反映されるわけではありませんが、竣工後には入居者獲得競争が強まりやすくなります。

    供給拡大方向は6か月継続しています。
    これは計測上限であり、一時的な増加というより、供給圧力が続いている状態と読めます。

    着工/世帯増倍率は 1.147倍 です。
    2025年の年次データでは、世帯増加に対して着工がやや多い状態です。
    既存物件では、家賃設定、募集条件、退去防止策を早めに点検しておきたい局面です。

    募集条件の見直しは、空室期間を短くする助けになります。
    ただし、周辺に新築供給が多いエリアでは、家賃を少し下げるだけでは差別化できないこともあります。
    設備更新、駐車場条件、初期費用、管理対応まで含めて、入居者が選ぶ理由を確認することが大切です。

    借入・建築費・地価の動き(投資コスト圧力)

    統計月である2026年4月時点の沖縄地銀短期プライムレートは 2.825% です。

    短期プライムレートは、変動金利の基準となる参照レートです。
    実際の投資用ローン金利そのものではありませんが、この水準が上がると、投資用ローンの基準金利も上がりやすくなります。

    沖縄地銀短期プライムレートは、2024年秋以降に段階的に上昇し、2026年2月以降は2.825%の水準にあります。
    記事作成時点の確認では、2026年6月も 2.825% が現行値ですが、琉球銀行と沖縄銀行は2026年8月3日から 3.075% へ引き上げると発表しています。
    統計月の数字と、発表済みの今後変更を分けて見ることが大切です。

    なお、居住用住宅ローンの参考指標であるメガバンク変動金利は 1.080% です。
    投資用アパートローンの実行金利は、地銀プライムレートや案件別の審査条件をもとに考えることが大切です。

    建築費前年比は +2.23%、地価変動率は +5.7% です。
    建築費と地価の両方が上がっているため、新築・取得どちらの収支計算でも、コストを軽く見ない前提が必要です。
    表面利回り(家賃収入÷物件価格)は物件価格が上がるほど下がりやすく、家賃を強めに見積もりすぎると計画が崩れやすくなります。

    借入条件を見直すことは、返済余力を確認するうえで有効です。
    ただし、既存契約の条件、担保評価、金融機関の審査方針によっては、借換えや条件変更が思うように進まない場合があります。
    沖縄では地銀金利の影響が大きいため、現行金利だけでなく、引き上げ後の返済額も並べて確認しておきたいところです。

    賃料と収益性の環境(賃料・収益性)

    総務省の消費者物価データ(CPI、物価の動きを見る指数)をもとに、3つの視点で賃料・収益性の環境を確認しています。

    ※賃料改定余地は那覇市の住居CPIが個別公表されているため那覇市データを使用しています。利回り圧迫と入居者負担圧力は、那覇市単体の該当データが非公表のため沖縄県データを使用しています。

    賃料改定余地は +0.2pt です。
    那覇市の住居物価は全体の物価上昇をやや上回っていますが、差は小さく、賃料に大きな上方余地があるとまではいえません。

    一方で、利回り圧迫は +1.7pt です。
    沖縄県では修繕費の上昇が賃料上昇を大きく上回っており、手取り収益に下押し圧力がかかりやすい状態です。

    入居者負担圧力は -1.1pt です。
    食料や光熱水道の負担が総合物価と比べて相対的に落ち着いており、入居者の家計面ではやや余裕がある状態と読めます。

    賃料改定は、手取り収益を守る選択肢の1つです。
    ただし、近隣相場、築年数、設備水準、入居者の家計感覚と合わない場合は、退去や空室長期化につながる可能性があります。
    修繕計画の前倒しも有効ですが、経年劣化や退去時の貸主負担分は避けにくい支出になるため、単なる節約ではなく優先順位づけが必要です。

    数字で確認する

    確認する市場の動き 2026年4月の状態 前月からの向き 続いている期間 次に見る判断材料
    実需環境(持家) 需要低迷(-33.44%) 悪化 2か月 悪化の初動。流動的な段階
    賃貸新規供給圧力 供給やや過多(+47.53%) 拡大 6か月 供給戻りが続いている
    投資コスト圧力 負担重め(2.825%) 上昇(コスト悪化) 3か月 悪化継続。トレンドに注意
    賃料・収益性 収益中立(41.7/100)
    ※賃料改定余地・修繕費上昇・入居者支払余力の3指標を合成したスコアです
    水準で判定 修繕費上昇と賃料の差分: +1.7pt。賃料改定余地: +0.2pt

    来月に何を見るか

    持家着工では、前年比がプラスに転じるかを確認します。
    プラス転換が2か月以上続いた時点で、新築供給の慎重姿勢が和らいできた初動として見やすくなります。
    ただし、1か月だけの反発では、売却しやすい環境に変わったとは言い切れません。
    売却判断では、成約事例、売出在庫、販売期間、価格帯、エリア特性も合わせて確認することが大切です。

    供給では、貸家着工の拡大方向が止まるかが重要です。
    現状は6か月継続しており、空室率への上昇圧力が蓄積しやすい状態です。
    特に新築競合が増えるエリアでは、既存物件の募集条件を早めに点検する必要があります。

    コストでは、沖縄地銀短期プライムレートの引き上げが実際の借入条件へどう反映されるかを確認します。
    2026年4月時点の統計値は2.825%ですが、琉球銀行と沖縄銀行は2026年8月3日から3.075%への引き上げを発表しており、投資用ローンの収支計算は保守的に見直す必要があります。
    もっとも、実際の適用条件は金融機関や契約内容で異なるため、自分の借入にどう影響するかを個別に確認することが大切です。

    賃料・収益性では、修繕費の上昇が賃料上昇を上回る状態が続くかを見ます。
    賃料改定余地が小さいまま修繕費が先に上がると、手取り収益は圧迫されます。
    ただし、賃料改定だけで解決できるとは限らないため、空室リスクと修繕コストを同じ表に置いて判断する必要があります。

    まとめ

    2026年4月の沖縄不動産市場は、総合判定では「弱含み」です。

    持家着工は弱く、新築供給は慎重になっている可能性があります。
    ただし、住宅着工数だけで売却判断をするのではなく、新築供給、中古需要、エリアの成約状況を分けて見ることが大切です。
    賃貸新規供給は強く、今後12〜18か月後の競争環境を保守的に見る必要があります。

    投資コストはすでに上がった水準にあります。
    さらに一部地銀では2026年8月からの短期プライムレート引き上げが発表されているため、借入条件や返済計画を現行水準だけでなく、引き上げ後の水準でも点検することが大切です。

    賃料・収益性は中立ですが、修繕費の上昇が賃料上昇を上回っています。
    賃料改定を考える場合も、空室リスクと修繕コストをセットで確認する必要があります。

    沖縄では、地価上昇や地銀金利に加えて、相続した実家や親族共有の土地をどう扱うかという問題もあります。
    数字上は売却や活用が合理的に見えても、家族内の合意形成や地域との関係が、実務上のハードルになることがあります。
    市場全体の温度感を見たうえで、自分の物件に当てはめて確認することが大切です。

    あなたの物件の空室対策、修繕費見積もり、借入条件、出口戦略は、直近データで見える変化を踏まえて見直せていますか?

    ※出典: 国土交通省 住宅着工統計、総務省 消費者物価指数、沖縄地銀公表値、ValueLab沖縄による集計・分析。

  • 沖縄住宅着工2026年4月|貸家平均628戸、全住宅は1,000戸台目前

    沖縄住宅着工2026年4月|貸家平均628戸、全住宅は1,000戸台目前

    沖縄の住宅着工は回復が続いているのでしょうか?

    2026年4月の沖縄県新設住宅着工統計では、貸家の回復がもう一段進みました。

    一方で、全住宅の単月は前年同月を下回っています。
    数字の見方を間違えると、市場全体が強いのか弱いのか判断しにくい月です。

    まず結論から。貸家は強く、全体はあと一歩です

    2026年4月の沖縄県の住宅着工は、貸家の供給回復が目立つ月になりました。

    前月のレポートで注目していた2指標の結果を先にお伝えします。

    ① 貸家の3か月移動平均:536.0戸から628.0戸へ増加し、500戸台維持どころか600戸台まで上昇しました。

    ② 全住宅の3か月移動平均:914.0戸から997.7戸へ増加し、900戸台は維持しました。
    ただし、1,000戸台にはあと2.3戸届いていません。

    単月では、貸家着工が595戸、前年同月比+20.4%。全住宅着工は901戸、前年同月比-12.9%でした。
    つまり、4月は「貸家は強いが、市場全体の本格回復は確認待ち」と見るのが自然です。

    なぜ貸家の600戸台回復が重要なのでしょうか?

    貸家の着工戸数は、将来の賃貸供給量を読むための先行指標です。
    供給が増えれば、数か月から数年後の空室率や家賃競争に影響します。

    2026年4月の貸家着工は595戸でした。
    単月では3月の732戸を下回りましたが、3か月移動平均は628.0戸まで上がっています。

    貸家の主要指標

    指標
    対象月 2026-04
    貸家着工戸数 595戸
    総床面積 29,895㎡(戸当たり50.2㎡/戸)
    貸家比率(全住宅比) 66.0%(3か月移動平均63.0%)
    3か月移動平均 628.0戸(前年同期比+47.5%)
    前年同月比 +20.4%

    ではなぜ、600戸台が大事なのでしょうか。

    3か月移動平均(直近3か月の平均)は、単月のブレをならして基調を見る指標です。
    2026年1月は436.7戸でしたが、4月には628.0戸まで上がりました。

    これは、賃貸住宅の供給が一時的な停滞から抜け、回復の厚みが増してきたことを示します。
    ただし、供給増は将来の競合増にもつながるため、オーナーや投資家は競争環境の変化として見る必要があります。

    直近12か月の貸家着工戸数

    月ごとの振れが大きいため、単月だけでなく3か月移動平均で見ることが重要です。

    年月 着工戸数 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 貸家比率 3か月移動平均 前年同期3か月移動平均比
    2025-05 162 10,473 64.6 39.9% 388.7 -9.3%
    2025-06 302 19,155 63.4 46.9% 319.3 -40.1%
    2025-07 453 23,542 52.0 58.0% 305.7 -45.8%
    2025-08 346 19,012 54.9 42.4% 367.0 -28.5%
    2025-09 639 29,602 46.3 60.6% 479.3 -0.3%
    2025-10 541 29,571 54.7 52.3% 508.7 +17.6%
    2025-11 384 23,340 60.8 43.9% 521.3 +9.8%
    2025-12 607 34,932 57.5 61.4% 510.7 +22.8%
    2026-01 319 15,993 50.1 49.1% 436.7 +22.4%
    2026-02 557 33,094 59.4 60.9% 494.3 +71.8%
    2026-03 732 48,076 65.7 62.2% 536.0 +53.0%
    2026-04 595 29,895 50.2 66.0% 628.0 +47.5%

    3か月移動平均は、2026年2月の494.3戸、3月の536.0戸、4月の628.0戸と連続して改善しました。

    貸家比率も単月で66.0%となり、4月の住宅着工では賃貸向け供給がかなり強い位置を占めています。

    全住宅はほぼ1,000戸台。でも本格回復と言えるのでしょうか?

    全住宅は、貸家だけでなく持家や分譲も含めた市場全体の動きです。
    建設需要の強さを見るには、この指標が欠かせません。

    2026年4月の全住宅着工は901戸でした。
    前年同月比は-12.9%とマイナスですが、3か月移動平均は997.7戸まで上がりました。

    全住宅の主要指標

    指標
    対象月 2026-04
    全住宅着工戸数 901戸
    総床面積 59,947㎡(戸当たり66.5㎡/戸)
    3か月移動平均 997.7戸(前年同期比+7.1%)
    前年同月比 -12.9%

    つまり、平均では1,000戸台にほぼ届いた一方、単月では前年を下回っています。

    3月時点の確認ポイントだった900戸台維持は達成しました。
    しかし、1,000戸台で安定したとはまだ言い切れません。

    直近12か月の全住宅着工動向

    全住宅は3か月平均で見ると改善していますが、単月の901戸は強い数字とは言い切れません。

    年月 全住宅着工 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 前年同月比 3か月移動平均 前年同期比(3か月MA)
    2025-05 406 35,005 86.2 -49.5% 865.0 +13.1%
    2025-06 644 49,713 77.2 -33.1% 694.7 -20.4%
    2025-07 781 55,397 70.9 -18.2% 610.3 -32.7%
    2025-08 816 57,883 70.9 +9.7% 747.0 -15.8%
    2025-09 1,055 72,227 68.5 +30.2% 884.0 +5.7%
    2025-10 1,035 77,810 75.2 +14.2% 968.7 +18.1%
    2025-11 875 69,883 79.9 +14.2% 988.3 +19.5%
    2025-12 988 74,896 75.8 +15.2% 966.0 +14.5%
    2026-01 650 46,035 70.8 +24.5% 837.7 +17.1%
    2026-02 915 67,629 73.9 +51.2% 851.0 +28.6%
    2026-03 1,177 90,121 76.6 +1.9% 914.0 +20.2%
    2026-04 901 59,947 66.5 -12.9% 997.7 +7.1%

    2026年4月の3か月移動平均997.7戸は、1,000戸台まであとわずかです。

    ただし、単月では前年同月比-12.9%です。
    持家や分譲を含む市場全体では、貸家ほど一枚岩の回復ではない点に注意が必要です。

    長期で見ると、供給過多局面とは違う形です

    短期では貸家の回復が目立ちます。では、長期の需給バランスではどうでしょうか。

    2025年の着工/世帯純増倍率は1.1倍でした。
    これは、世帯増加に対して住宅着工がやや上回る程度です。

    過去のピーク局面のような強い供給過多とは違い、長期ではおおむね均衡圏にあります。

    長期年次トレンド

    人口(万人) 世帯数(万) 世帯純増 全住宅着工 うち貸家 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 着工/世帯純増(倍)
    2007 137.3 50.2 5,972 10,876 7,307 497,955 68.1 1.8
    2008 137.7 50.8 5,666 12,300 7,570 472,570 62.4 2.2
    2009 138.5 51.4 6,133 11,747 8,292 546,683 65.9 1.9
    2010 139.3 52.0 6,324 10,709 7,381 452,286 61.3 1.7
    2011 140.3 52.9 8,924 11,828 7,547 476,517 63.1 1.3
    2012 141.2 53.6 7,257 12,713 8,253 496,611 60.2 1.8
    2013 141.9 54.3 6,812 16,618 10,772 640,892 59.5 2.4
    2014 142.6 55.1 7,541 15,426 10,914 637,717 58.4 2.0
    2015 143.4 56.0 9,699 16,136 10,726 553,986 51.6 1.7
    2016 144.2 57.1 11,067 16,201 11,135 551,688 49.5 1.5
    2017 144.7 58.1 9,939 16,591 11,263 546,466 48.5 1.7
    2018 145.3 59.2 10,667 16,803 11,282 530,020 47.0 1.6
    2019 146.1 60.5 12,528 15,098 9,227 470,078 50.9 1.2
    2020 146.7 61.5 10,083 10,703 5,683 317,123 55.8 1.1
    2021 146.9 62.3 8,455 9,668 4,399 240,276 54.6 1.1
    2022 146.9 63.2 8,919 9,179 3,647 225,547 61.8 1.0
    2023 146.8 64.1 9,266 10,183 4,417 262,924 59.5 1.1
    2024 146.7 65.1 10,027 9,703 5,202 281,336 54.1 1.0
    2025 146.6 66.0 8,645 9,916 4,979 281,134 56.5 1.1

    2013年から2018年にかけては、着工/世帯純増倍率が高い年もありました。
    2025年の1.1倍は、それらの時期と比べると落ち着いた水準です。

    ただし、2026年4月の貸家3か月移動平均は628.0戸まで上がっています。
    短期の回復が年次の需給バランスにどう響くかは、今後の確認点です。

    全国比較では、沖縄の特徴がまだ残っています

    沖縄は全国と比べると、貸家比率が高い地域です。
    2025年も沖縄の貸家比率は50.2%、全国は43.9%でした。

    ただし、2025年の貸家指数は沖縄87.6、全国105.9です。
    貸家の回復度合いだけを見ると、沖縄は全国より弱い位置にあります。

    全国比較

    総着工指数(沖縄) 総着工指数(全国) 貸家指数(沖縄) 貸家指数(全国) 貸家比率(沖縄) 貸家比率(全国) 貸家比率前年差(沖縄) 貸家比率前年差(全国)
    2007 101.6 130.1 128.6 102.6 67.2% 29.7% -1.6% -1.4%
    2008 114.9 134.1 133.2 103.8 61.5% 29.1% -5.6% -0.6%
    2009 109.8 96.7 145.9 92.8 70.6% 36.1% +9.0% +7.0%
    2010 100.1 99.7 129.9 99.5 68.9% 37.5% -1.7% +1.4%
    2011 110.5 102.3 132.8 99.6 63.8% 36.6% -5.1% -0.9%
    2012 118.8 108.3 145.2 101.6 64.9% 35.3% +1.1% -1.3%
    2013 155.3 120.2 189.5 115.7 64.8% 36.2% -0.1% +0.9%
    2014 144.1 109.4 192.0 93.0 70.8% 32.0% +5.9% -4.2%
    2015 150.8 111.5 188.7 92.4 66.5% 31.2% -4.3% -0.8%
    2016 151.4 118.6 195.9 95.3 68.7% 30.2% +2.3% -0.9%
    2017 155.0 118.3 198.2 92.7 67.9% 29.5% -0.8% -0.7%
    2018 157.0 115.6 198.5 92.3 67.1% 30.1% -0.7% +0.6%
    2019 141.1 111.0 162.4 94.1 61.1% 31.9% -6.0% +1.8%
    2020 100.0 100.0 100.0 100.0 53.1% 37.6% -8.0% +5.7%
    2021 90.3 105.0 77.4 93.1 45.5% 33.3% -7.6% -4.3%
    2022 85.8 105.4 64.2 112.5 39.7% 40.1% -5.8% +6.8%
    2023 95.1 100.5 77.7 112.1 43.4% 42.0% +3.6% +1.8%
    2024 90.7 97.2 91.5 111.5 53.6% 43.2% +10.2% +1.2%
    2025 92.6 90.8 87.6 105.9 50.2% 43.9% -3.4% +0.7%

    沖縄は貸家比率が全国より高い一方、2025年は前年差で低下しています。全国とは少し違う動きになっています。

    着工密度の比較

    人口1万人当たり(沖縄) 人口1万人当たり(全国) 世帯1万当たり(沖縄) 世帯1万当たり(全国)
    2007 79.2 82.8 216.6 211.4
    2008 89.3 85.6 242.3 215.6
    2009 84.8 61.8 228.6 153.7
    2010 76.9 63.5 205.9 156.8
    2011 84.3 65.3 223.5 159.9
    2012 90.1 69.2 237.0 168.2
    2013 117.1 76.9 305.9 185.6
    2014 108.2 70.1 280.1 167.9
    2015 112.6 71.5 287.9 170.1
    2016 112.4 76.2 283.5 179.5
    2017 114.6 76.1 285.3 177.5
    2018 115.6 74.5 283.8 172.0
    2019 103.3 71.7 249.7 163.8
    2020 72.9 64.9 174.1 146.4
    2021 65.8 68.2 155.1 152.4
    2022 62.5 68.8 145.2 151.6
    2023 69.3 65.9 158.8 143.3
    2024 66.1 64.0 149.0 137.3
    2025 67.6 60.1 150.2 127.3

    世帯1万当たりで見ると、2025年の沖縄は150.2戸、全国は127.3戸です。
    人口・世帯規模に対しては、沖縄の供給密度はまだ高めです。

    この回復は貸家中心の回復なのでしょうか?

    2026年4月は、貸家の3か月移動平均が600戸台に乗りました。これは前向きな変化です。

    ただし、全住宅の単月は前年同月比マイナスでした。
    市場全体が全面的に強いというより、貸家が全体を押し上げている月です。

    次月に見るべきポイントは2つあります。

    ① 貸家の3か月移動平均が600戸台を維持できるか
    ② 全住宅の3か月移動平均が1,000戸台に乗るか

    賃貸オーナーにとっては、供給増が競合増につながるかが気になるところです。
    投資家にとっては、貸家中心の回復が実需を伴っているかを見る必要があります。

    次月の数字は、沖縄の住宅供給が本格回復へ進むのか、それとも貸家中心の一時的な押し上げなのかを判断する材料になりそうです。

    ※出典:沖縄県土木建築部 建築指導課 住宅着工統計(月次)、国土交通省 建築着工統計調査 住宅着工統計(e-Stat 統計コード: 00600120)

  • 沖縄の住宅着工は貸家主導──おきぎん景況速報2026年4月から読む供給環境

    沖縄の住宅着工は貸家主導──おきぎん景況速報2026年4月から読む供給環境

    おきぎん経済研究所が公表した「おきぎん県内景況・速報(2026年4月分)」をもとに、不動産投資家・オーナーの視点から読み解いた記事です。

    住宅着工は増えているのに、なぜ建設関連は「ふつう」なのか?

    2026年4月のおきぎん景況速報では、県内景況は「拡大基調」と判断されました。
    一方で、建設関連の判断は「ふつう」です。

    では、住宅投資は強いのでしょうか。
    それとも、建設全体はまだ慎重に見るべきでしょうか。

    この記事では、住宅着工、公共工事、建設資材の3つから、沖縄不動産の供給環境を整理します。

    まず結論から。おきぎん住宅投資・3つの読み方

    住宅着工は1,177戸、前年同月比1.9%増でした。
    数字だけ見ると小幅増ですが、8カ月連続で前年を上回っています。

    ② 増加の中心は貸家です。
    貸家は43.5%増の一方、持家は44.2%減分譲住宅は27.3%減でした。

    ③ 建設全体は強いと一括りにできません。
    公共工事請負金額は0.2%減、生コンは8.9%減、セメントは8.5%減です。

    なぜそうなっているのか。住宅投資と建設関連を分けて読む

    住宅着工は8カ月連続増、でも伸びは小さい

    まず確認したいのは、住宅着工の月次推移です。
    着工戸数は増えていますが、直近の伸びは大きくありません。

    着工戸数 前年同月比
    2025/3 1,155 81.0%
    2025/4 1,034 21.4%
    2025/5 406 △49.5%
    2025/6 644 △33.1%
    2025/7 781 △18.2%
    2025/8 816 9.7%
    2025/9 1,055 30.2%
    2025/10 1,035 14.2%
    2025/11 875 14.2%
    2025/12 988 15.2%
    2026/1 650 24.5%
    2026/2 915 51.2%
    2026/3 1,177 1.9%

    ※出典:国土交通省「住宅着工統計」(おきぎん経済研究所資料より)

    2026年3月は1,177戸で、前年同月比1.9%増でした。
    年度累計でも前年比4.4%増となっています。

    では、増えているなら安心してよいのでしょうか。
    ここで大切なのは、合計よりも中身です。

    全体は小幅増でも、利用別ではかなり差が出ています。

    貸家は増え、持家と分譲は減っている

    次に、利用別の内訳を見ます。
    賃貸オーナーにとっては、ここが最も重要です。

    利用関係 2026年3月 前年同月比
    貸家 43.5%増
    持家 44.2%減
    分譲住宅 27.3%減
    合計 1,177戸 1.9%増

    ※利用別の増減率は、おきぎん経済研究所「おきぎん県内景況・速報(2026年4月分)」による。

    貸家は前年同月を大きく上回りました。
    一方で、持家と分譲住宅は大きく減っています。

    つまり、住宅投資の増加は、持ち家需要の回復というより、貸家主導の動きです。
    賃貸経営では、需要があるかだけでなく、競合する新築賃貸が増えるかを見る必要があります。

    新築供給が増えるエリアでは、築年数、駐車場、初期費用、設備条件の差が見られやすくなります。

    公共工事は小幅減、建設資材も弱い

    住宅着工だけでは、建設全体の温度は分かりません。
    おきぎんは、公共工事と建設資材も合わせて見ています。

    公共工事請負金額 前年同月比
    2025/4 20,078百万円 41.1%
    2025/5 21,968百万円 △2.0%
    2025/6 26,348百万円 △22.7%
    2025/7 42,763百万円 △5.6%
    2025/8 54,259百万円 130.0%
    2025/9 31,280百万円 △5.2%
    2025/10 44,324百万円 80.0%
    2025/11 27,096百万円 1.6%
    2025/12 15,752百万円 56.6%
    2026/1 13,220百万円 △37.0%
    2026/2 96,827百万円 271.5%
    2026/3 117,776百万円 △17.0%
    2026/4 20,043百万円 △0.2%

    ※出典:西日本建設業保証沖縄支店「公共工事動向」(おきぎん経済研究所資料より)

    2026年4月の公共工事請負金額は、200億4,300万円でした。
    前年同月比では0.2%減です。

    大きく悪化した数字ではありません。
    ただし、建設関連全体を強いと判断するほどの伸びでもありません。

    発注者別では、市町村、沖縄県、国は増えました。
    一方で、その他公共的団体が大きく減っています。

    生コンとセメントはともに前年割れ

    さらに、建設資材の動きも確認します。
    資材出荷は、現場の動き方を知る補助線になります。

    生コン セメント
    2025/4 4.1% 4.0%
    2025/5 △5.1% △0.7%
    2025/6 3.7% 3.5%
    2025/7 △11.8% △10.2%
    2025/8 △8.2% △8.3%
    2025/9 △3.7% △15.0%
    2025/10 △7.1% △15.5%
    2025/11 △20.0% △16.6%
    2025/12 △7.9% △9.5%
    2026/1 △9.8% △7.5%
    2026/2 △15.6% △12.1%
    2026/3 △9.0% △8.6%
    2026/4 △8.9% △8.5%

    ※出典:おきぎん経済研究所調べ。セメント出荷量は速報値で、確報にて修正される場合があります。

    2026年4月は、生コンが8.9%減、セメントが8.5%減でした。
    どちらも前年同月を下回っています。

    ではなぜ、住宅着工は増えているのに、資材は弱いのでしょうか。

    一つの見方は、住宅投資の一部が増えても、建設全体の現場量までは強くなっていないということです。
    もう一つは、公共工事や民間工事の内訳により、資材需要の出方が変わることです。

    賃貸オーナーにとっては、供給増だけでなく、建築費や修繕費の高止まりも確認したい局面です。

    りゅうぎんレポートとは何が違うのか?

    同じ2026年4月を対象に、りゅうぎん総合研究所も県内景気動向を公表しています。
    ただし、ここではおきぎん資料を中心に、見方の違いだけを補足します。

    比較項目 おきぎん景況速報 りゅうぎん景気動向
    建設関連の表現 建設関連は「ふつう」 回復の動きが強まっている
    住宅着工 1,177戸、1.9%増 同じ国土交通省データを使用
    貸家 43.5%増 732戸、43.5%増と明記
    補助指標 公共工事、資材出荷を重視 建築着工床面積、建設受注額も重視
    読み方 強弱混在を確認しやすい 回復感を広く捉えやすい

    ※出典:おきぎん経済研究所「おきぎん県内景況・速報(2026年4月分)」、りゅうぎん総合研究所「県内の景気動向(2026年4月)」

    両社で住宅着工の方向性は一致しています。
    違うのは、建設全体をどう切り取るかです。

    りゅうぎんは、建築着工床面積や建設受注額も含めて、回復の動きを見ています。
    おきぎんは、公共工事や資材出荷の弱さも合わせて、「ふつう」と整理しています。

    不動産投資家にとっては、どちらが正しいかを決めるより、両方の見方を使い分けることが大切です。
    住宅投資は貸家主導で増えています。

    ただし、建設全体を強いと一括りにしないことが、今回の重要な読み方です。

    着工増を、賃貸市場の追い風だけで見てよいのか?

    今回のおきぎん景況速報からは、3つのことが見えてきます。

    ① 住宅着工は前年を上回り、年度累計でも増えています。

    ② ただし、増加の中心は貸家で、持家と分譲は弱いです。

    ③ 公共工事と建設資材は弱く、建設全体は強弱混在です。

    沖縄の住宅投資は、表面上は増加しています。
    しかし、その中身は貸家に偏っています。

    これは賃貸需要の強さを示す一方で、新築競合が増える可能性も示します。
    オーナーは「需要があるから大丈夫」ではなく、自分の物件が選ばれる理由を確認する必要があります。

    立地、駐車場、設備、初期費用、修繕対応は、今後さらに比較されやすくなります。

    着工増のニュースを見たとき、あなたの物件は追い風を受ける側でしょうか。
    それとも、競合供給に備える側でしょうか。

    ※出典:おきぎん経済研究所「おきぎん県内景況・速報(2026年4月分)」(2026年5月29日公表)、りゅうぎん総合研究所「県内の景気動向(2026年4月)」、国土交通省「住宅着工統計」、西日本建設業保証沖縄支店「公共工事動向」

  • 沖縄景気32カ月連続拡大──貸家+43.5%で投資家が見るべき変化

    沖縄景気32カ月連続拡大──貸家+43.5%で投資家が見るべき変化

    りゅうぎん総合研究所が公表した「県内の景気動向(2026年4月)」をもとに、不動産投資家・オーナーの視点から読み解いた記事です。

    沖縄の景気は32カ月連続で拡大中──投資家が今読むべき数字とは?

    県内景気が緩やかに拡大を続けています。
    りゅうぎん総合研究所の判断では、2026年4月で32カ月連続の拡大です。

    では、今回の数字は不動産投資家にとって、単なる好景気の確認なのでしょうか?

    答えは、少し違います。

    観光需要は引き続き強い一方で、外国客は43カ月ぶりに前年を下回りました。
    貸家の着工も増えていますが、持家と分譲は減少しています。

    この記事では、2026年4月の景気動向を3つの数字から読み解き、賃貸経営や投資判断で確認したいポイントを整理します。

    まず結論から。2026年4月景気動向・3つの読み方

    観光需要は底堅いが、外国客に変化が出ています
    入域観光客数は90万5,500人、前年同月比+2.6%と53カ月連続で増えました。一方で、外国客は26万200人、同-0.6%と43カ月ぶりに減少しています。

    ホテル収入は強く、観光地の収益環境は崩れていません
    主要ホテルの稼働率は71.2%、宿泊収入は前年同月比+10.9%でした。販売客室数と客室単価の両方が伸びています。

    貸家着工は増えていますが、供給判断は慎重に見る局面です
    2026年3月の新設住宅着工は1,177戸、前年同月比+1.9%で、貸家は732戸、同+43.5%でした。ただし、住宅着工は月ごとの振れが大きいため、単月だけで急増と断定しないことが重要です。

    なぜそうなっているのか──3つの数字を深く読む

    ① 入域観光客90万5,500人──観光需要は本当に弱まったのか?

    まず確認したいのは、観光客数の中身です。
    全体では増えていますが、国内客と外国客で動きが分かれました。

    指標 2026年4月 前年同月比 連続月数・補足
    入域観光客数 90万5,500人 +2.6% 53カ月連続増
    国内客 64万5,300人 +3.9% 22カ月連続増
    外国客 26万200人 -0.6% 43カ月ぶり減少
    空路 83万2,100人 +5.8% 53カ月連続増
    海路 7万3,400人 -23.9% 3カ月ぶり減少

    ※出典:沖縄県観光政策課(りゅうぎん総合研究所調べ)

    外国客の減少は目立ちます。
    ただし、資料では悪天候によるクルーズ船の寄港キャンセルが要因として示されています。

    つまり、外国人観光需要そのものが急に弱くなったと見るのは早いです。
    むしろ空路は前年同月比+5.8%で増えています。

    不動産投資家にとっては、観光需要の総量だけでなく、空路中心か海路中心かを見ることが重要です。

    那覇市内や空港アクセスの良いエリアでは、宿泊・短期滞在需要の下支えが続きやすいと考えられます。

    ② ホテル宿泊収入+10.9%──民泊・短期賃貸の需要基盤はどうなっているか?

    次に、観光客数だけでなくホテルの収益を見ます。
    人数が伸びても、単価が下がれば不動産への影響は弱くなります。

    指標 2026年4月 前年同月比・前年差 連続月数・補足
    主要ホテル稼働率 71.2% +4.7ポイント 25カ月連続上昇
    主要ホテル売上高 +10.0% 23カ月連続増
    主要ホテル宿泊収入 +10.9% 3カ月連続増
    那覇市内ホテル稼働率 74.9% +1.9ポイント 4カ月連続上昇
    リゾート型ホテル稼働率 69.8% +8.1ポイント 25カ月連続上昇

    ※実数(金額)は非公表。前年同月比のみ公表(りゅうぎん総合研究所調べ)。

    ホテル宿泊収入は前年同月比+10.9%でした。
    販売客室数が増え、宿泊客室単価も上昇しています。

    ではなぜ、この数字が賃貸経営に関係するのでしょうか?

    ホテルが高い稼働と単価を維持できている局面では、観光客の滞在需要が底堅いと読めます。
    那覇中心部、空港周辺、リゾートエリアでは、民泊やマンスリー、法人利用の需要にも波及しやすくなります。

    一方で、ホテル側の供給や価格競争が強まると、民泊や短期賃貸も選ばれる理由を明確にする必要があります。

    立地だけでなく、駐車場、寝具、ワークスペース、家族利用への対応が差になりやすい局面です。

    ③ 貸家着工+43.5%──賃貸住宅の競合は増えるのか?

    最後に、住宅供給を確認します。
    賃貸需要が強くても、供給が増えれば競合環境は変わります。

    利用関係 2026年3月(戸) 前年同月比
    貸家 732 +43.5%
    分譲 293 -27.3%
    給与住宅 17 全増
    持家 135 -44.2%
    合計 1,177 +1.9%

    ※出典:国土交通省(りゅうぎん総合研究所調べ)

    貸家は前年同月比+43.5%と大きく増えました。
    一方で、持家と分譲は大きく減っています。

    この数字だけを見ると、賃貸住宅の供給が急に増えているように見えます。
    ただし、新設住宅着工は月ごとの振れが大きい指標です。

    1月から3月の3カ月合計では、新設住宅着工戸数は前年同期比+20.2%でした。
    単月の+43.5%は、着工がその月に集中した可能性もあります。

    それでも、貸家が増加方向にあることは無視できません。
    投資家にとっては、需要があることよりも、増える競合のなかで自分の物件が選ばれるかが重要です。

    築年数、駐車場、インターネット、初期費用、ペット可否など、比較される項目を早めに点検したい局面です。

    ④ 物価+1.6%と求人減──資金面で何を警戒するべきか?

    景気拡大の裏側では、コストと雇用にも変化があります。
    賃料や売却価格だけでなく、入居者とオーナーの負担も確認が必要です。

    指標 2026年4月 前年同月比・実数
    消費者物価指数(総合) +1.6%
    生鮮食品を除く総合 +1.9%
    生鮮食品・エネルギー除く総合 +2.6%
    新規求人数 -2.7%
    有効求人倍率(季調値) 1.12倍 前月比+0.04ポイント

    ※出典:沖縄県、沖縄労働局(りゅうぎん総合研究所調べ)

    物価は56カ月連続で前年を上回りました。
    食料や住居が上がっており、家計負担は軽くありません。

    新規求人数は12カ月連続で前年を下回りました。
    有効求人倍率は1.12倍に上昇していますが、求人の勢いは弱まっています。

    つまり、賃料を上げやすい環境とまでは言い切れません。
    入居者の負担感が強まると、更新時の交渉や退去判断にも影響します。

    オーナー側も、修繕費や原状回復費の上昇を前提に、収支を見直す必要があります。

    2026年4月の沖縄不動産、投資家は何を確認すべきか?

    今回のデータをまとめると、3つのことが見えてきます。

    ① 観光需要は底堅く、ホテル収入も伸びています。

    ② ただし、外国客の減少や貸家着工の増加など、変化の兆しも出ています。

    ③ 物価上昇と求人減少により、入居者とオーナー双方の負担感は残ります。

    沖縄不動産市場は、引き続き追い風を受けています。
    ただし、その追い風はすべての物件に同じように吹くわけではありません。

    観光動線上の物件は、宿泊・短期滞在需要の恩恵を受けやすいでしょう。
    一方で、一般賃貸は競合供給や家計負担を見ながら、賃料設定を慎重に考える必要があります。

    大切なのは、景気拡大という一言で判断しないことです。

    需要、供給、コスト、入居者負担を分けて見ることで、次に取るべき行動が見えやすくなります。
    あなたの物件は、増える競合のなかで選ばれる理由を説明できる状態になっているでしょうか?

    ※出典:りゅうぎん総合研究所「県内の景気動向(2026年4月)」

  • 2026年3月の沖縄不動産市場温度計|総合判定「弱含み」の背景と投資家への示唆

    2026年3月の沖縄不動産市場温度計|総合判定「弱含み」の背景と投資家への示唆

    【データについて】本記事は2026年3月の統計データをもとに作成しています。住宅着工統計は約3〜4か月の公表ラグがあり、最新月のデータが揃った時点で分析・執筆を行うため、公開時期と統計月にずれが生じます。データが示すトレンド(方向感・継続月数)の読み方は、公開時点でも参考になるものとして掲載しています。

    沖縄の不動産市場、2026年3月は何が変わった?

    「空室は増える?」「金利の影響は?」「賃料は上げられる?」
    実需・供給・コスト・賃料収益性の4つの指標を確認すると、2026年3月の沖縄不動産市場で何が起きているかが見えてきます。

    まず結論から

    2026年3月の沖縄不動産市場温度計は、総合スコア 30.7/100、判定は 弱含み です。

    1つ目は、住宅購入ニーズの弱さです。
    持家着工3か月移動平均前年比は -24.78% と大きく前年を下回り、持家・実需環境は「需要低迷」となりました。

    2つ目は、賃貸新規供給の強さです。
    貸家着工3か月移動平均前年比は +53.00% で、供給拡大方向が6か月継続しています。

    3つ目は、投資コストの重さです。
    沖縄地銀短期プライムレートは 2.825% で、建築費前年比も +2.23% と上昇しています。

    4つ目は、賃料・収益性の下支えです。
    賃料・収益性は 66.7/100 の「収益やや有利」で、賃料改定余地は残っています。

    全体としては、賃料面の下支えはあるものの、実需の弱さ、供給増、借入コスト上昇を同時に見る必要がある月です。

    4つの軸で読む今月の変化

    住宅購入ニーズの今(実需環境・持家)

    持家着工3か月移動平均前年比は -24.78% でした。

    3か月移動平均とは、直近3か月の平均でならした数字です。前年比は、去年の同じ月との比較です。
    つまり、持家着工が前年より大きく少なく、住宅購入ニーズが弱い状態と読めます。

    方向感は悪化で、継続は1か月です。
    まだ単月の動きなので、ここから悪化が続くのか、再び持ち直すのかを確認する段階です。

    投資家にとって実需の弱さは、出口時の買い手のつきやすさに関係します。
    住宅購入ニーズが弱い局面では、売却時の価格設定や売却期間を慎重に見る必要があります。

    賃貸物件はどれだけ増えているか(賃貸新規供給圧力)

    貸家着工3か月移動平均前年比は +53.00% です。

    貸家着工が増えるということは、今後12〜18か月後に市場へ出てくる賃貸物件が増えやすい、という意味です。
    すぐに空室率へ反映されるわけではありませんが、竣工後には入居者獲得競争が強まりやすくなります。

    供給拡大方向は6か月継続しています。
    これは計測上限であり、一時的な増加というより、供給圧力が続いている状態と読めます。

    着工/世帯増倍率は 1.147倍 です。
    2025年の年次データでは、世帯増加に対して着工がやや多い状態です。
    既存物件では、家賃設定、募集条件、退去防止策を早めに点検しておきたい局面です。

    借入・建築費・地価の動き(投資コスト圧力)

    統計月である2026年3月時点の沖縄地銀短期プライムレートは 2.825% です。

    短期プライムレートは、変動金利の基準となる参照レートです。
    実際の投資用ローン金利そのものではありませんが、この水準が上がると、投資用ローンの基準金利も上がりやすくなります。

    沖縄地銀短期プライムレートは、2024年秋以降に段階的に上昇し、2026年2月以降は2.825%の水準にあります。
    記事作成時点の最新データでも 2.825% が続いており、さらに上がったわけではありません。
    ただし、高い水準のまま継続している点が重要です。

    なお、居住用住宅ローンの参考指標であるメガバンク変動金利は 0.965% です。投資用アパートローンの実行金利は、地銀プライムレートや案件別の審査条件をもとに考えることが大切です。

    建築費前年比は +2.23%、地価変動率は +5.7% です。
    建築費と地価の両方が上がっているため、新築・取得どちらの収支計算でも、コストを軽く見ない前提が必要です。

    賃料と収益性の環境(賃料・収益性)

    総務省の消費者物価データ(CPI)をもとに、3つの視点で賃料・収益性の環境を確認しています。

    ※賃料改定余地は那覇市の住居CPIが個別公表されているため那覇市データを使用しています。
    利回り圧迫と入居者負担圧力は、那覇市単体の該当データが非公表のため沖縄県データを使用しています。

    賃料改定余地は +0.5pt です。那覇市の住居物価が全体の物価上昇を上回っており、賃料に上方余地がある状態といえます。

    一方で、利回り圧迫は +0.5pt です。沖縄県では修繕費の上昇が賃料上昇を上回っており、手取り収益に下押し圧力がかかりやすい状態です。

    入居者負担圧力は -4.2pt です。食料や光熱水道の負担が総合物価と比べて相対的に落ち着いており、入居者の家計面ではやや余裕がある状態と読めます。

    数字で確認する

    水準 変化方向 継続 転換点の読み方
    実需環境(持家) 需要低迷(-24.78%) 悪化 1か月 悪化の初動。流動的な段階
    賃貸新規供給圧力 供給やや過多(+53.00%) 拡大 6か月 供給戻りが続いている
    投資コスト圧力 負担重め(2.825%) 上昇(コスト悪化) 2か月 悪化の初動。流動的な段階
    賃料・収益性 収益やや有利(66.7/100)
    ※賃料改定余地・修繕費上昇・入居者支払余力の
    3指標を合成したスコアです
    水準で判定 修繕費上昇と賃料の差分: +0.5pt。
    賃料改定余地: +0.5pt

    来月に何を見るか

    実需では、持家着工の前年比がプラスに転じるかを確認します。
    プラス転換が2か月以上続いた時点で、実需回復の初動として見やすくなります。

    供給では、貸家着工の拡大方向が止まるかが重要です。
    現状は6か月継続しており、空室率への上昇圧力が蓄積しやすい状態です。

    コストでは、沖縄地銀短期プライムレートが2.825%のまま続くのか、さらに上がるのかを確認します。
    横ばいでも高い水準にあるため、投資用ローンの収支計算は保守的に見直す必要があります。

    賃料・収益性では、修繕費の上昇が賃料上昇を上回る状態が続くかを見ます。
    賃料改定余地があっても、修繕費が先に上がると手取り収益は圧迫されます。

    まとめ

    2026年3月の沖縄不動産市場は、総合判定では「弱含み」です。

    実需は弱く、売却時の出口戦略は慎重に見たい局面です。
    賃貸新規供給は強く、今後12〜18か月後の競争環境を保守的に見る必要があります。

    投資コストはすでに上がった水準にあります。
    金利がさらに上がっていなくても、借入条件や返済計画を現行水準で見直すことが大切です。

    一方で、賃料・収益性には下支えもあります。
    賃料改定余地がある物件では、募集条件や更新時の賃料設定を丁寧に確認する価値があります。

    あなたの物件の空室対策、修繕費見積もり、出口戦略は、今月の市場環境に対応した状態になっていますか?

    ※出典: 国土交通省 住宅着工統計、総務省 消費者物価指数、沖縄地銀公表値、ValueLab沖縄による集計・分析。

  • 沖縄県新設住宅着工統計レポート 2026年3月

    沖縄県新設住宅着工統計レポート 2026年3月

    沖縄の住宅着工は回復しているのでしょうか?

    2026年3月の沖縄県新設住宅着工統計では、貸家と全住宅のどちらにも回復の動きが見られました。

    特に注目したいのは、前月レポートで確認ポイントとしていた2つの移動平均です。貸家は500戸台、全住宅は900戸台を回復しました。

    まず結論から。2つの回復ラインを突破しました

    2026年3月の沖縄県の住宅着工は、短期的な供給回復を確認する月になりました。

    前月のレポートで注目していた2指標の結果を先にお伝えします。
    ① 貸家の3か月移動平均:494.3戸から536.0戸へ増加し、500戸台を回復しました。
    直近ピークだった2025年11月の521.3戸も上回っています。
    ② 全住宅の3か月移動平均:851.0戸から914.0戸へ増加し、900戸台を回復しました。
    ただし、1,000戸台まではまだ86.0戸の差があります。

    単月では、貸家着工が732戸、前年同月比+43.5%。全住宅着工は1,177戸、前年同月比+1.9%でした。

    つまり、3月は「貸家が強く戻り、全体も下支えされた月」と見ることができます。

    なぜ貸家の500戸台回復が重要なのでしょうか?

    貸家の着工戸数は、将来の賃貸供給量を読むための先行指標です。
    供給が増えれば、数か月から数年後の空室率や家賃競争に影響します。

    2026年3月の貸家着工は732戸でした。単月として強いだけでなく、3か月移動平均も536.0戸まで戻っています。

    貸家の主要指標

    指標
    対象月 2026-03
    貸家着工戸数 732戸
    総床面積 48,076㎡(戸当たり65.7㎡/戸)
    貸家比率(全住宅比) 62.2%(3か月移動平均57.4%)
    3か月移動平均 536.0戸(前年同期比+53.0%)
    前年同月比 +43.5%

    ではなぜ、500戸台回復が大事なのでしょうか。

    2025年7月の貸家3か月移動平均は305.7戸まで落ち込んでいました。
    そこから2026年3月には536.0戸まで戻り、底値から約75.3%上昇しています。

    これは、賃貸住宅の供給が一時的な停滞局面から抜けつつあることを示しています。
    ただし、単月の大型着工に引っ張られている面もあるため、次月以降も500戸台を維持できるかが焦点です。

    直近12か月の貸家着工戸数

    月ごとの振れが大きいため、単月だけでなく3か月移動平均で見ることが重要です。

    年月 着工戸数 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 貸家比率 3か月移動平均 前年同期3か月移動平均比
    2025-04 494 28,774 58.2 47.8% 425.7 +22.7%
    2025-05 162 10,473 64.6 39.9% 388.7 -9.3%
    2025-06 302 19,155 63.4 46.9% 319.3 -40.1%
    2025-07 453 23,542 52.0 58.0% 305.7 -45.8%
    2025-08 346 19,012 54.9 42.4% 367.0 -28.5%
    2025-09 639 29,602 46.3 60.6% 479.3 -0.3%
    2025-10 541 29,571 54.7 52.3% 508.7 +17.6%
    2025-11 384 23,340 60.8 43.9% 521.3 +9.8%
    2025-12 607 34,932 57.5 61.4% 510.7 +22.8%
    2026-01 319 15,993 50.1 49.1% 436.7 +22.4%
    2026-02 557 33,094 59.4 60.9% 494.3 +71.8%
    2026-03 732 48,076 65.7 62.2% 536.0 +53.0%

    3か月移動平均は、2026年1月の436.7戸から2か月連続で改善しました。
    貸家比率も単月で62.2%となり、3月は賃貸供給の存在感がかなり強い月です。

    全住宅は900戸台を回復。ただし本格回復はまだ途中です

    全住宅は、貸家だけでなく持家や分譲も含めた市場全体の動きです。
    建設需要の強さを見るには、この指標が欠かせません。

    2026年3月の全住宅着工は1,177戸でした。
    前年同月比は+1.9%と小幅ですが、3か月移動平均は914.0戸まで上がりました。

    全住宅の主要指標

    指標
    対象月 2026-03
    全住宅着工戸数 1,177戸
    総床面積 90,121㎡(戸当たり76.6㎡/戸)
    3か月移動平均 914.0戸(前年同期比+20.2%)
    前年同月比 +1.9%

    つまり、900戸台には戻りましたが、1,000戸台で安定する段階にはまだ届いていません。

    2025年11月の3か月移動平均は988.3戸でした。
    2026年3月の914.0戸は、そこからまだ74.3戸低い水準です。

    直近12か月の全住宅着工動向

    全住宅は2025年9月以降、前年同月比でプラスが続いています。
    回復方向は見えますが、水準の安定にはもう少し確認が必要です。

    年月 全住宅着工 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 前年同月比 3か月移動平均 前年同期比(3か月移動平均)
    2025-04 1,034 81,155 78.5 +21.4% 931.3 +31.2%
    2025-05 406 35,005 86.2 -49.5% 865.0 +13.1%
    2025-06 644 49,713 77.2 -33.1% 694.7 -20.4%
    2025-07 781 55,397 70.9 -18.2% 610.3 -32.7%
    2025-08 816 57,883 70.9 +9.7% 747.0 -15.8%
    2025-09 1,055 72,227 68.5 +30.2% 884.0 +5.7%
    2025-10 1,035 77,810 75.2 +14.2% 968.7 +18.1%
    2025-11 875 69,883 79.9 +14.2% 988.3 +19.5%
    2025-12 988 74,896 75.8 +15.2% 966.0 +14.5%
    2026-01 650 46,035 70.8 +24.5% 837.7 +17.1%
    2026-02 915 67,629 73.9 +51.2% 851.0 +28.6%
    2026-03 1,177 90,121 76.6 +1.9% 914.0 +20.2%

    3月単月の1,177戸は強い数字です。
    一方で、3か月平均ではまだ1,000戸台に届いていないため、次月も900戸台を維持できるかが大切です。

    長期で見ると、供給過多局面とは違う形です

    短期では回復感があります。では、長期の需給バランスではどうでしょうか。

    2025年の着工/世帯純増倍率は1.1倍でした。
    これは、世帯増加に対して住宅着工がやや上回る程度です。

    過去のピーク局面のような強い供給過多とは違い、長期ではおおむね均衡圏にあります。

    長期年次トレンド

    人口(万人) 世帯数(万) 世帯純増 全住宅着工 うち貸家 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 着工/世帯純増(倍)
    2007 137.3 50.2 5,972 10,876 7,307 497,955 68.1 1.8
    2008 137.7 50.8 5,666 12,300 7,570 472,570 62.4 2.2
    2009 138.5 51.4 6,133 11,747 8,292 546,683 65.9 1.9
    2010 139.3 52.0 6,324 10,709 7,381 452,286 61.3 1.7
    2011 140.3 52.9 8,924 11,828 7,547 476,517 63.1 1.3
    2012 141.2 53.6 7,257 12,713 8,253 496,611 60.2 1.8
    2013 141.9 54.3 6,812 16,618 10,772 640,892 59.5 2.4
    2014 142.6 55.1 7,541 15,426 10,914 637,717 58.4 2.0
    2015 143.4 56.0 9,699 16,136 10,726 553,986 51.6 1.7
    2016 144.2 57.1 11,067 16,201 11,135 551,688 49.5 1.5
    2017 144.7 58.1 9,939 16,591 11,263 546,466 48.5 1.7
    2018 145.3 59.2 10,667 16,803 11,282 530,020 47.0 1.6
    2019 146.1 60.5 12,528 15,098 9,227 470,078 50.9 1.2
    2020 146.7 61.5 10,083 10,703 5,683 317,123 55.8 1.1
    2021 146.9 62.3 8,455 9,668 4,399 240,276 54.6 1.1
    2022 146.9 63.2 8,919 9,179 3,647 225,547 61.8 1.0
    2023 146.8 64.1 9,266 10,183 4,417 262,924 59.5 1.1
    2024 146.7 65.1 10,027 9,703 5,202 281,336 54.1 1.0
    2025 146.6 66.0 8,645 9,916 4,979 281,134 56.5 1.1

    2013年から2018年にかけては、着工/世帯純増倍率が高い年もありました。
    2025年の1.1倍は、それらの時期と比べると落ち着いた水準です。

    全国比較では、沖縄の特徴がまだ残っています

    沖縄は全国と比べると、貸家比率が高い地域です。
    2025年も沖縄の貸家比率は50.2%、全国は43.9%でした。

    ただし、2025年の貸家指数は沖縄87.6、全国105.9です。
    貸家の回復度合いだけを見ると、沖縄は全国より弱い位置にあります。

    全国比較

    総着工指数(沖縄) 総着工指数(全国) 貸家指数(沖縄) 貸家指数(全国) 貸家比率(沖縄) 貸家比率(全国) 貸家比率前年差(沖縄) 貸家比率前年差(全国)
    2007 101.6 130.1 128.6 102.6 67.2% 29.7% -1.6% -1.4%
    2008 114.9 134.1 133.2 103.8 61.5% 29.1% -5.6% -0.6%
    2009 109.8 96.7 145.9 92.8 70.6% 36.1% +9.0% +7.0%
    2010 100.1 99.7 129.9 99.5 68.9% 37.5% -1.7% +1.4%
    2011 110.5 102.3 132.8 99.6 63.8% 36.6% -5.1% -0.9%
    2012 118.8 108.3 145.2 101.6 64.9% 35.3% +1.1% -1.3%
    2013 155.3 120.2 189.5 115.7 64.8% 36.2% -0.1% +0.9%
    2014 144.1 109.4 192.0 93.0 70.8% 32.0% +5.9% -4.2%
    2015 150.8 111.5 188.7 92.4 66.5% 31.2% -4.3% -0.8%
    2016 151.4 118.6 195.9 95.3 68.7% 30.2% +2.3% -0.9%
    2017 155.0 118.3 198.2 92.7 67.9% 29.5% -0.8% -0.7%
    2018 157.0 115.6 198.5 92.3 67.1% 30.1% -0.7% +0.6%
    2019 141.1 111.0 162.4 94.1 61.1% 31.9% -6.0% +1.8%
    2020 100.0 100.0 100.0 100.0 53.1% 37.6% -8.0% +5.7%
    2021 90.3 105.0 77.4 93.1 45.5% 33.3% -7.6% -4.3%
    2022 85.8 105.4 64.2 112.5 39.7% 40.1% -5.8% +6.8%
    2023 95.1 100.5 77.7 112.1 43.4% 42.0% +3.6% +1.8%
    2024 90.7 97.2 91.5 111.5 53.6% 43.2% +10.2% +1.2%
    2025 92.6 90.8 87.6 105.9 50.2% 43.9% -3.4% +0.7%

    沖縄は貸家比率が全国より高い一方、2025年は前年差で低下しています。全国とは少し違う動きになっています。

    着工密度の比較

    人口1万人当たり(沖縄) 人口1万人当たり(全国) 世帯1万当たり(沖縄) 世帯1万当たり(全国)
    2007 79.2 82.8 216.6 211.4
    2008 89.3 85.6 242.3 215.6
    2009 84.8 61.8 228.6 153.7
    2010 76.9 63.5 205.9 156.8
    2011 84.3 65.3 223.5 159.9
    2012 90.1 69.2 237.0 168.2
    2013 117.1 76.9 305.9 185.6
    2014 108.2 70.1 280.1 167.9
    2015 112.6 71.5 287.9 170.1
    2016 112.4 76.2 283.5 179.5
    2017 114.6 76.1 285.3 177.5
    2018 115.6 74.5 283.8 172.0
    2019 103.3 71.7 249.7 163.8
    2020 72.9 64.9 174.1 146.4
    2021 65.8 68.2 155.1 152.4
    2022 62.5 68.8 145.2 151.6
    2023 69.3 65.9 158.8 143.3
    2024 66.1 64.0 149.0 137.3
    2025 67.6 60.1 150.2 127.3

    世帯1万当たりで見ると、2025年の沖縄は150.2戸、全国は127.3戸です。
    人口・世帯規模に対しては、沖縄の供給密度はまだ高めです。

    この回復は本物でしょうか?

    2026年3月は、貸家も全住宅も前月の注目ラインを超えました。これは前向きな変化です。

    ただし、判断はここで終わりではありません。次月に見るべきポイントは2つあります。

    ① 貸家の3か月移動平均が500戸台を維持できるか
    ② 全住宅の3か月移動平均が900戸台を維持し、1,000戸台との差を縮められるか

    賃貸オーナーにとっては、供給増が競合増につながるかが気になるところです。
    投資家にとっては、回復が実需を伴っているかを見る必要があります。

    次月の数字は、この回復が一過性なのか、沖縄の住宅供給が次の局面に入ったのかを判断する材料になりそうです。

    ※出典:沖縄県土木建築部 建築指導課 住宅着工統計(月次)、国土交通省 建築着工統計調査 住宅着工統計(e-Stat 統計コード: 00600120)