コラム

沖縄の賃貸着工が前年比2倍超!2026年2月の住宅着工統計を読み解く

目次

沖縄の賃貸住宅市場、本当に回復しているの?

「沖縄の新設住宅、今どんな状況?」
そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

実は公的統計に答えが隠れています。
新設住宅の着工数を見ると、市場の今が見えてきます。

まず結論から。2026年2月の注目データ

2026年2月の沖縄県の住宅着工は、前年比大幅プラスで底打ち後の回復継続という結果になりました。

前月(2026年1月)のレポートで注目していた2指標の結果を先にお伝えします。
① 貸家の3か月移動平均(直近3か月の平均):436.7戸→494.3戸500戸台は未達。目標まであと5.7戸)
② 全住宅の3か月移動平均:837.7戸→851.0戸900戸台は未達。目標まであと49戸)

どちらも前月より改善しましたが、目標には届きませんでした。
ただ、前年同期比(3か月移動平均ベース)は貸家: +71.8%、全住宅: +28.6%といずれも大幅プラスを維持しています。

今月のポイントをまとめると:

① 貸家着工は557戸(前年同月比 +104.0%)と前年比2倍超の大幅増。
3か月移動平均も494.3戸と前月(436.7戸)から57.6戸上昇しました。

② 全住宅着工は915戸(前年同月比 +51.2%)と7か月連続の前年比プラス。
3か月移動平均は851.0戸で底値(2025年7月: 610.3戸)から39.4%回復しています。

③ 長期的には着工/世帯純増倍率は1.1倍(需給均衡の目安: 1.0倍)で、
大幅な供給過剰だった2010年代前半とは大きく異なる均衡した需給バランスが続いています。

なぜこうなったの? 各セクションを詳しく見る

A. 賃貸住宅(貸家):単月557戸の好調も3か月平均は500戸に届かず

2026年2月の貸家着工は557戸
前の年の同じ月(273戸)と比べると、+104.0%と実に2倍超の大幅増です。

ではなぜ、3か月移動平均は500戸に届かなかったのでしょうか?
1月(319戸)という単月の低調が足を引っ張った形です。

つまり、今月の単月は強いものの、基調(3か月移動平均)はまだ500戸台に戻っていません。
底値(2025年7月: 305.7戸)からは8か月で61.7%回復しており、回復の方向性は明確です。

今月の主要指標:

・貸家着工:557戸(前年同月比 +104.0%
・3か月移動平均:494.3戸(前年同期比 +71.8%
・貸家比率:60.9%(3か月移動平均ベース: 57.1%)
・総床面積:33,094㎡(戸当たり 59.4㎡)

直近12か月の貸家着工データ

月ごとのブレが大きいため、3か月移動平均で基調を確認してください。

年月 着工戸数 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 貸家比率 3か月移動平均 前年同期3か月移動平均比
2025-03 510 32,598 63.9 44.2% 350.3 +15.1%
2025-04 494 28,774 58.2 47.8% 425.7 +22.7%
2025-05 162 10,473 64.6 39.9% 388.7 -9.3%
2025-06 302 19,155 63.4 46.9% 319.3 -40.1%
2025-07 453 23,542 52.0 58.0% 305.7 -45.8%
2025-08 346 19,012 54.9 42.4% 367.0 -28.5%
2025-09 639 29,602 46.3 60.6% 479.3 -0.3%
2025-10 541 29,571 54.7 52.3% 508.7 +17.6%
2025-11 384 23,340 60.8 43.9% 521.3 +9.8%
2025-12 607 34,932 57.5 61.4% 510.7 +22.8%
2026-01 319 15,993 50.1 49.1% 436.7 +22.4%
2026-02 557 33,094 59.4 60.9% 494.3 +71.8%

3か月移動平均の推移(直近6か月):479.3→508.7→521.3→510.7→436.7→494.3。
1月の大幅低下後に回復傾向が戻っており、3月の数値が500戸台を超えるかが焦点です。

B. 全住宅:7か月連続プラスも基調はまだ900戸台に届かず

2026年2月の全住宅着工は915戸(前年同月比 +51.2%)。
これで7か月連続の前年比プラスとなりました。

ではなぜ3か月移動平均は900戸台を回復できないのでしょうか?
1月の650戸という落ち込みが3か月平均を引き下げているからです。

つまり、今月の単月は好調(915戸)ながら、基調(851.0戸)の回復にはもう少し時間がかかります。
底値(2025年7月: 610.3戸)からは8か月で39.4%上昇しており、回復の勢いは確実にあります。

今月の主要指標:

・全住宅着工:915戸(前年同月比 +51.2%
・3か月移動平均:851.0戸(前年同期比 +28.6%
・総床面積:67,629㎡(戸当たり 73.9㎡)

直近12か月の全住宅着工データ

前年同月比プラスの継続に注目してください。

年月 全住宅着工 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 前年同月比 3か月移動平均 前年同期比(3か月MA)
2025-03 1,155 96,076 83.2 +81.0% 760.7 +11.5%
2025-04 1,034 81,155 78.5 +21.4% 931.3 +31.2%
2025-05 406 35,005 86.2 -49.5% 865.0 +13.1%
2025-06 644 49,713 77.2 -33.1% 694.7 -20.4%
2025-07 781 55,397 70.9 -18.2% 610.3 -32.7%
2025-08 816 57,883 70.9 +9.7% 747.0 -15.8%
2025-09 1,055 72,227 68.5 +30.2% 884.0 +5.7%
2025-10 1,035 77,810 75.2 +14.2% 968.7 +18.1%
2025-11 875 69,883 79.9 +14.2% 988.3 +19.5%
2025-12 988 74,896 75.8 +15.2% 966.0 +14.5%
2026-01 650 46,035 70.8 +24.5% 837.7 +17.1%
2026-02 915 67,629 73.9 +51.2% 851.0 +28.6%

2025年8月から7か月連続で前年同月比プラスを維持しています。
3か月移動平均の900戸台回復が、次のマイルストーンです。

C. 長期トレンド:需給均衡に近い1.1倍、過去の供給過剰からの調整が完了

2025年の通年では、全住宅着工9,916戸に対して世帯純増が8,645世帯。
着工/世帯純増倍率は1.1倍で、需給均衡の目安(1.0倍)に近い水準です。

ではなぜ倍率は低下してきたのでしょうか?
2013〜2018年に年間1万1千戸超を着工した供給過剰期が調整されたためです。

つまり、過去の大量供給の時代は終わり、今の沖縄は需給がほぼ均衡した状態にあります。
貸家着工はピーク(2016年: 11,135戸)の44.7%まで縮小しています。

長期年次トレンドデータ(2007年〜2025年)

倍率の長期的な変化を確認してください。2013〜2018年ピーク期との対比が重要です。

人口(万人) 世帯数(万) 世帯純増 全住宅着工 うち貸家 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 着工/世帯純増(倍)
2007 137.3 50.2 5,972 10,876 7,307 497,955 68.1 1.8
2008 137.7 50.8 5,666 12,300 7,570 472,570 62.4 2.2
2009 138.5 51.4 6,133 11,747 8,292 546,683 65.9 1.9
2010 139.3 52.0 6,324 10,709 7,381 452,286 61.3 1.7
2011 140.3 52.9 8,924 11,828 7,547 476,517 63.1 1.3
2012 141.2 53.6 7,257 12,713 8,253 496,611 60.2 1.8
2013 141.9 54.3 6,812 16,618 10,772 640,892 59.5 2.4
2014 142.6 55.1 7,541 15,426 10,914 637,717 58.4 2.0
2015 143.4 56.0 9,699 16,136 10,726 553,986 51.6 1.7
2016 144.2 57.1 11,067 16,201 11,135 551,688 49.5 1.5
2017 144.7 58.1 9,939 16,591 11,263 546,466 48.5 1.7
2018 145.3 59.2 10,667 16,803 11,282 530,020 47.0 1.6
2019 146.1 60.5 12,528 15,098 9,227 470,078 50.9 1.2
2020 146.7 61.5 10,083 10,703 5,683 317,123 55.8 1.1
2021 146.9 62.3 8,455 9,668 4,399 240,276 54.6 1.1
2022 146.9 63.2 8,919 9,179 3,647 225,547 61.8 1.0
2023 146.8 64.1 9,266 10,183 4,417 262,924 59.5 1.1
2024 146.7 65.1 10,027 9,703 5,202 281,336 54.1 1.0
2025 146.6 66.0 8,645 9,916 4,979 281,134 56.5 1.1

2022年の1.0倍から2025年は1.1倍。需給均衡圏での安定が続いています。
世帯純増ペースの変化が、今後の倍率を左右する最重要要因です。

全国比較:沖縄の貸家指数は全国を下回るが着工密度は依然高水準

沖縄と全国を比べると、貸家の供給力の違いが見えてきます。
全国では貸家が増加傾向にある中、沖縄は逆方向に動いているのでしょうか?

全国比較データ(着工指数・貸家比率)

指数は2020年を100として比較しています。貸家比率の前年差の方向性に注目してください。

総着工指数(沖縄) 総着工指数(全国) 貸家指数(沖縄) 貸家指数(全国) 貸家比率(沖縄) 貸家比率(全国) 貸家比率前年差(沖縄) 貸家比率前年差(全国)
2007 101.6 130.1 128.6 102.6 67.2% 29.7% -1.6% -1.4%
2008 114.9 134.1 133.2 103.8 61.5% 29.1% -5.6% -0.6%
2009 109.8 96.7 145.9 92.8 70.6% 36.1% +9.0% +7.0%
2010 100.1 99.7 129.9 99.5 68.9% 37.5% -1.7% +1.4%
2011 110.5 102.3 132.8 99.6 63.8% 36.6% -5.1% -0.9%
2012 118.8 108.3 145.2 101.6 64.9% 35.3% +1.1% -1.3%
2013 155.3 120.2 189.5 115.7 64.8% 36.2% -0.1% +0.9%
2014 144.1 109.4 192.0 93.0 70.8% 32.0% +5.9% -4.2%
2015 150.8 111.5 188.7 92.4 66.5% 31.2% -4.3% -0.8%
2016 151.4 118.6 195.9 95.3 68.7% 30.2% +2.3% -0.9%
2017 155.0 118.3 198.2 92.7 67.9% 29.5% -0.8% -0.7%
2018 157.0 115.6 198.5 92.3 67.1% 30.1% -0.7% +0.6%
2019 141.1 111.0 162.4 94.1 61.1% 31.9% -6.0% +1.8%
2020 100.0 100.0 100.0 100.0 53.1% 37.6% -8.0% +5.7%
2021 90.3 105.0 77.4 93.1 45.5% 33.3% -7.6% -4.3%
2022 85.8 105.4 64.2 112.5 39.7% 40.1% -5.8% +6.8%
2023 95.1 100.5 77.7 112.1 43.4% 42.0% +3.6% +1.8%
2024 90.7 97.2 91.5 111.5 53.6% 43.2% +10.2% +1.2%
2025 92.6 90.8 87.6 105.9 50.2% 43.9% -3.4% +0.7%

2025年の沖縄の貸家指数(87.6)は全国(105.9)を17.3pt下回っています。
全国では貸家が増加傾向(前年差+0.7pt)の中、沖縄は-3.4ptと対照的な動きが続いています。

着工密度データ(人口・世帯当たり着工戸数)

人口・世帯規模の差を除いた「供給圧力」を比較できる指標です。
数値が高いほど住宅の供給が多く、過剰供給リスクが高まります。

人口1万人当たり(沖縄) 人口1万人当たり(全国) 世帯1万当たり(沖縄) 世帯1万当たり(全国)
2007 79.2 82.8 216.6 211.4
2008 89.3 85.6 242.3 215.6
2009 84.8 61.8 228.6 153.7
2010 76.9 63.5 205.9 156.8
2011 84.3 65.3 223.5 159.9
2012 90.1 69.2 237.0 168.2
2013 117.1 76.9 305.9 185.6
2014 108.2 70.1 280.1 167.9
2015 112.6 71.5 287.9 170.1
2016 112.4 76.2 283.5 179.5
2017 114.6 76.1 285.3 177.5
2018 115.6 74.5 283.8 172.0
2019 103.3 71.7 249.7 163.8
2020 72.9 64.9 174.1 146.4
2021 65.8 68.2 155.1 152.4
2022 62.5 68.8 145.2 151.6
2023 69.3 65.9 158.8 143.3
2024 66.1 64.0 149.0 137.3
2025 67.6 60.1 150.2 127.3

2025年の沖縄の世帯1万当たり着工数(150.2戸/万世帯)は全国(127.3戸/万世帯)を22.9戸/万世帯上回っています。
ただし2013年のピーク(305.9戸/万世帯)と比べると49.1%まで低下しており、過剰供給リスクは大幅に緩和されています。

この回復は本物か? 2026年3月の注目指標

2026年2月のデータは、底打ち後の回復継続を示しています。
ただし、3か月移動平均はまだ節目に届いていません。

次月(2026年3月)に特に注目すべき2つの指標:

貸家の3か月移動平均が500戸台を回復するか
(現在494.3戸。直近ピーク2025年11月: 521.3戸まであと27.0戸)

全住宅の3か月移動平均が900戸台を回復するか
(現在851.0戸。中長期的には1,000戸台での安定が本格回復の目安)

今月の単月データは両指標ともに好調でした。
その強さが3月の基調に反映されるかどうか、次のレポートで確認します。

沖縄の住宅市場は今、需給が均衡に近い状態で回復しています。
この回復が空室率の改善や賃料の安定につながるのか、引き続き注目していきましょう。

より詳しいデータと分析は、統計レポート版でご確認いただけます。
【詳細レポート】沖縄の新設住宅着工統計 2026年2月|ValueLab

※出典:沖縄県土木建築部 建築指導課 住宅着工統計(月次)、国土交通省 建築着工統計調査 住宅着工統計(e-Stat 統計コード: 00600120)

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