沖縄県 新設住宅着工統計レポート 2026年2月

沖縄県の賃貸住宅市場と全住宅市場の今を、公的統計データから読み解くレポートです。着工戸数の前年比・3か月移動平均・需給バランス指標を一枚のレポートに集約しているため、投資判断・賃貸経営・市場調査の基礎資料として活用できます。

このレポートでわかること
セクション内容活用シーン
A. 貸家(月次)賃貸住宅の着工動向・3か月移動平均トレンド賃貸投資・供給過多リスクの確認
B. 全住宅(月次)持家・分譲を含む市場全体の動向建設需要・景気感の把握
C. 長期トレンド(年次)着工/世帯純増倍率・全国比較(2007年〜)需給の構造的バランス判断
貸家の3か月移動平均は 低下傾向(436〜521戸)— 底打ち後の回復継続を確認するなら Section A
全住宅も 低下傾向(837〜988戸)— 市場全体の回復感を確認するなら Section B
年間の着工/世帯純増倍率は 1.1倍(需給均衡の目安: 1.0倍)— 長期の需給バランスを確認するなら Section C

サマリー

貸家着工(2026-02) 557 戸 前年同月比 +104.0% / 3か月移動平均 494.3戸
全住宅着工(2026-02) 915 戸 前年同月比 +51.2% / 3か月移動平均 851.0戸
貸家 総床面積 33,094 ㎡ 戸当たり 59.4 ㎡/戸
全住宅 総床面積 67,629 ㎡ 戸当たり 73.9 ㎡/戸

月次トレンド(3か月移動平均・直近6か月)

貸家: 低下傾向(436〜521戸)

全住宅: 低下傾向(837〜988戸)

年次トレンド(直近年実績)

2025年 着工/世帯純増倍率: 1.1倍(需給均衡の目安: 1.0倍)

2025年 貸家比率: 50.2%(前年差 −3.4pt

A

貸家着工動向(月次)

対象月2026-02
着工戸数557 戸
前年同月比+104.0%
3か月移動平均494.3 戸
前年同期比(3か月移動平均)+71.8%
貸家比率60.9%
総床面積33,094 ㎡
年月着工戸数総床面積(㎡)戸当たり(㎡/戸) 貸家比率3か月移動平均前年同期3か月移動平均比
2025-0351032,59863.944.2%350.3+15.1%
2025-0449428,77458.247.8%425.7+22.7%
2025-0516210,47364.639.9%388.7−9.3%
2025-0630219,15563.446.9%319.3−40.1%
2025-0745323,54252.058.0%305.7−45.8%
2025-0834619,01254.942.4%367.0−28.5%
2025-0963929,60246.360.6%479.3−0.3%
2025-1054129,57154.752.3%508.7+17.6%
2025-1138423,34060.843.9%521.3+9.8%
2025-1260734,93257.561.4%510.7+22.8%
2026-0131915,99350.149.1%436.7+22.4%
2026-0255733,09459.460.9%494.3+71.8%
3か月移動平均の推移(直近6か月): 479.3 → 508.7 → 521.3 → 510.7 → 436.7 → 494.3
直近6か月のトレンド(3か月移動平均): 低下傾向
今月実績(557戸)は3か月移動平均を+12.7%上回る(月次変動の大きさを示す)

分析

  • 事実(数値): 2026-02の貸家着工557戸・前年同月比+104.0%、3か月移動平均は494.3戸(前年同期比+71.8%)。貸家比率60.9%に対し3か月移動平均ベースの比率は57.1%で乖離は+3.8pt。実績は3か月移動平均を+12.7%上回る。
  • 解釈(意味): 3か月移動平均は2025-07の底値305.7戸から8か月で+188.6戸(+61.7%)上昇した。直前月(436.7戸)から494.3戸へ+57.6戸(+13.2%)回復したが、前月予告の注目指標①「3か月移動平均が500戸台に再上昇するか」は実現せず(494.3戸)、直近ピーク(2025-11: 521.3戸)を27.0戸下回る水準にとどまった。
  • 確認ポイント(次月に見る指標): 2026-03の3か月移動平均が500戸台を回復するか、単月557戸の強さが基調に反映されるかを注目する。中長期的には500〜520戸台での安定維持が持続回復の節目となる。

コメント

2026-02の貸家着工は557戸(前年同月比+104.0%)と前年比2倍超の大幅増となりました。3か月移動平均は494.3戸(前年同期比+71.8%)で、2025-07の底値305.7戸から8か月かけて61.7%の回復を遂げてきましたが、前月予告の注目指標①「3か月移動平均500戸台への再上昇」は届かず(494.3戸)、直近ピーク(2025-11: 521.3戸)を27.0戸下回りました。単月は3か月移動平均を+12.7%上回る好調で、基調の底上げへの寄与が期待されます。2026-03は3か月移動平均が500戸超を回復できるか、単月の強さが基調に反映されるかが焦点となります。中長期的には500〜520戸台で安定する局面が持続できるか、貸家比率が60%前後の高水準を維持できるかを注目します。

B

全住宅(持家+貸家+分譲+給与)着工動向(月次)

対象月2026-02
全住宅着工915 戸
前年同月比+51.2%
3か月移動平均851.0 戸
前年同期比(3か月移動平均)+28.6%
総床面積67,629 ㎡
年月全住宅着工総床面積(㎡)戸当たり(㎡/戸) 前年同月比3か月移動平均前年同期比(3か月移動平均)
2025-031,15596,07683.2+81.0%760.7+11.5%
2025-041,03481,15578.5+21.4%931.3+31.2%
2025-0540635,00586.2−49.5%865.0+13.1%
2025-0664449,71377.2−33.1%694.7−20.4%
2025-0778155,39770.9−18.2%610.3−32.7%
2025-0881657,88370.9+9.7%747.0−15.8%
2025-091,05572,22768.5+30.2%884.0+5.7%
2025-101,03577,81075.2+14.2%968.7+18.1%
2025-1187569,88379.9+14.2%988.3+19.5%
2025-1298874,89675.8+15.2%966.0+14.5%
2026-0165046,03570.8+24.5%837.7+17.1%
2026-0291567,62973.9+51.2%851.0+28.6%

分析

  • 事実(数値): 2026-02の全住宅着工915戸・前年同月比+51.2%、3か月移動平均は851.0戸(前年同期比+28.6%)。実績は3か月移動平均を+7.5%(+64戸)上回る。
  • 解釈(意味): 3か月移動平均は2025-07の底値610.3戸から8か月で+240.7戸(+39.4%)上昇した。前年同月比は7か月連続プラス(2025-08〜2026-02)で回復基調を維持しているが、前月予告の注目指標②「3か月移動平均が900戸台を回復するか」には届かず(851.0戸)、直近ピーク(2025-11: 988.3戸)を137.3戸下回る。
  • 確認ポイント(次月に見る指標): 2026-03の3か月移動平均が900戸台を回復するか、前年同月比プラス基調の継続を確認する。中長期的には1,000戸台への定着が本格回復の目安となる。

コメント

2026-02の全住宅着工は915戸(前年同月比+51.2%)と7か月連続の前年比プラスとなりました。3か月移動平均は851.0戸(前年同期比+28.6%)で、2025-07の底値610.3戸から8か月で39.4%の回復を遂げていますが、前月予告の注目指標②「3か月移動平均900戸台への回復」には届かず(851.0戸)、直近ピーク(2025-11: 988.3戸)を137.3戸下回りました。単月915戸は3か月移動平均を+7.5%(+64戸)上回り、次月の基調改善に貢献する可能性があります。2026-03は3か月移動平均が900戸台を回復できるか、引き続き焦点となります。中長期的には1,000戸台への定着が市場回復の本格化を示す目安であり、前年比プラス基調の持続性を見極めることが重要です。

C

貸家着工 × 需要動向 長期トレンド(年次・参考)

※ 人口・世帯数: 各年10月1日時点(住民基本台帳)。着工/世帯純増: >1 は世帯増加以上に着工あり(在庫積み上がりリスク)、<1 は着工不足(需給ひっ迫)。世帯純増≤0の年は N/A。

人口(万人)世帯数(万)世帯純増 全住宅着工うち貸家総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸)着工/世帯純増(倍)
2007137.350.25,97210,8767,307497,95568.11.8
2008137.750.85,66612,3007,570472,57062.42.2
2009138.551.46,13311,7478,292546,68365.91.9
2010139.352.06,32410,7097,381452,28661.31.7
2011140.352.98,92411,8287,547476,51763.11.3
2012141.253.67,25712,7138,253496,61160.21.8
2013141.954.36,81216,61810,772640,89259.52.4
2014142.655.17,54115,42610,914637,71758.42.0
2015143.456.09,69916,13610,726553,98651.61.7
2016144.257.111,06716,20111,135551,68849.51.5
2017144.758.19,93916,59111,263546,46648.51.7
2018145.359.210,66716,80311,282530,02047.01.6
2019146.160.512,52815,0989,227470,07850.91.2
2020146.761.510,08310,7035,683317,12355.81.1
2021146.962.38,4559,6684,399240,27654.61.1
2022146.963.28,9199,1793,647225,54761.81.0
2023146.864.19,26610,1834,417262,92459.51.1
2024146.765.110,0279,7035,202281,33654.11.0
2025146.666.08,6459,9164,979281,13456.51.1

分析

  • 事実(数値): 2025年の全住宅着工9,916戸に対し世帯純増8,645世帯で、着工/世帯純増倍率は1.1倍。貸家着工4,979戸は貸家ピーク(2016年: 11,135戸)の44.7%水準。貸家比率50.2%は前年(53.6%)から3.4pt低下。
  • 解釈(意味): 倍率は需給均衡の目安1.0倍をわずかに上回り、在庫積み上がりリスクは低い水準で推移している。貸家着工はピーク比で半数以下に縮小し、過去の供給過剰局面から大きく調整した。一方、貸家比率の3.4pt低下は持家・分譲の相対的な拡大を示す。
  • 確認ポイント(次月に見る指標): 2026年の通年倍率が1.0〜1.1倍の均衡圏を維持できるか、世帯純増ペースの変化が倍率を押し上げるかを注目する。

コメント

2025年の着工/世帯純増倍率は1.1倍(全住宅9,916戸・世帯純増8,645世帯)と、需給均衡の目安1.0倍をわずかに上回る水準となりました。貸家着工4,979戸はピーク(2016年: 11,135戸)の44.7%と半数以下に縮小しており、過去の大幅供給超過局面から大きく調整された状態が続いています。貸家比率は50.2%で前年から3.4pt低下し、持家・分譲の相対比重が高まっています。中長期的には、世帯増加ペースの変化が倍率の方向性を左右する構造的なリスク要因となるため、人口動態の継続的なモニタリングが重要です。

全国比較(沖縄 vs 全国)

※ 指数は2020年=100。貸家比率前年差は百分率ポイント差。

総着工指数(沖縄)総着工指数(全国) 貸家指数(沖縄)貸家指数(全国) 貸家比率(沖縄)貸家比率(全国) 貸家比率前年差(沖縄)貸家比率前年差(全国)
2007101.6130.1128.6102.667.2%29.7%−1.6%−1.4%
2008114.9134.1133.2103.861.5%29.1%−5.6%−0.6%
2009109.896.7145.992.870.6%36.1%+9.0%+7.0%
2010100.199.7129.999.568.9%37.5%−1.7%+1.4%
2011110.5102.3132.899.663.8%36.6%−5.1%−0.9%
2012118.8108.3145.2101.664.9%35.3%+1.1%−1.3%
2013155.3120.2189.5115.764.8%36.2%−0.1%+0.9%
2014144.1109.4192.093.070.8%32.0%+5.9%−4.2%
2015150.8111.5188.792.466.5%31.2%−4.3%−0.8%
2016151.4118.6195.995.368.7%30.2%+2.3%−0.9%
2017155.0118.3198.292.767.9%29.5%−0.8%−0.7%
2018157.0115.6198.592.367.1%30.1%−0.7%+0.6%
2019141.1111.0162.494.161.1%31.9%−6.0%+1.8%
2020100.0100.0100.0100.053.1%37.6%−8.0%+5.7%
202190.3105.077.493.145.5%33.3%−7.6%−4.3%
202285.8105.464.2112.539.7%40.1%−5.8%+6.8%
202395.1100.577.7112.143.4%42.0%+3.6%+1.8%
202490.797.291.5111.553.6%43.2%+10.2%+1.2%
202592.690.887.6105.950.2%43.9%−3.4%+0.7%

※ 人口・世帯数は住民基本台帳(沖縄: 10月1日時点, 全国: 1月1日時点で代用)。
読み方: 人口1万人当たり・世帯1万当たり着工戸数は、地域の人口・世帯規模の差を除いた「着工密度」を示す比較指標。数値が高いほど住宅供給圧力が強く、過剰供給リスクが高い。沖縄は2013年に世帯1万当たり305.9戸/万世帯(全国185.6戸/万世帯)とピークを記録したが、近年は全国との格差が大きく縮小している。

人口1万人当たり(沖縄)人口1万人当たり(全国) 世帯1万当たり(沖縄)世帯1万当たり(全国)
200779.282.8216.6211.4
200889.385.6242.3215.6
200984.861.8228.6153.7
201076.963.5205.9156.8
201184.365.3223.5159.9
201290.169.2237.0168.2
2013117.176.9305.9185.6
2014108.270.1280.1167.9
2015112.671.5287.9170.1
2016112.476.2283.5179.5
2017114.676.1285.3177.5
2018115.674.5283.8172.0
2019103.371.7249.7163.8
202072.964.9174.1146.4
202165.868.2155.1152.4
202262.568.8145.2151.6
202369.365.9158.8143.3
202466.164.0149.0137.3
202567.660.1150.2127.3

分析

  • 事実(数値): 2025年の沖縄貸家指数は87.6(全国105.9)で全国を17.3pt下回り、総着工指数は92.6(全国90.8)でわずかに上回る。貸家比率前年差は沖縄−3.4pt・全国+0.7ptと方向が逆転。世帯1万当たり着工戸数は沖縄150.2(全国127.3)で22.9戸/万世帯上回るが、2013年ピーク305.9戸/万世帯の49.1%水準。
  • 解釈(意味): 沖縄の貸家指数が全国を17.3pt下回る一方、総着工指数では全国と同水準にあるのは持家・分譲の相対的な拡大を示す。着工密度(世帯1万当たり)は全国を22.9戸/万世帯上回り依然として供給優位だが、2013年ピーク比での大幅低下で過剰供給リスクは緩和されている。
  • 確認ポイント(次月に見る指標): 沖縄の貸家指数が90台を回復できるか、貸家比率前年差が全国並みの方向性に収束するかを確認する。

コメント

2025年の沖縄貸家指数は87.6(全国105.9)と全国を17.3pt下回り、全国で貸家供給が増加傾向(前年差+0.7pt)にある中、沖縄は3.4pt低下と対照的な動きとなっています。総着工指数では沖縄92.6・全国90.8とほぼ同水準で、貸家以外(持家・分譲)が総着工を支えている構図です。着工密度(世帯1万当たり)は沖縄150.2戸/万世帯・全国127.3戸/万世帯と依然22.9戸/万世帯の差を維持していますが、2013年ピーク(305.9戸/万世帯)の49.1%まで低下し、過去の過剰供給局面から大きく調整されています。中長期的には、空室率・賃料動向など実需指標と照合しながら、沖縄の貸家市場が持続的な回復力を備えているかを評価していくことが重要です。