コラム

沖縄の賃貸住宅市場、2026年1月も回復が続いているの?2026年1月の着工データを読み解く

目次

沖縄の賃貸住宅市場、2026年1月も回復が続いているの?

「沖縄の賃貸住宅、これから供給が増えるの?」
そんな疑問を持つ投資家・賃貸オーナーの方も多いはず。

実は公的統計に答えが隠れています。
新設住宅の着工数を見ると、市場の今が分かります。

まず結論から。2026年1月の注目データ

2026年1月の沖縄県の住宅着工は、回復基調の継続を示しました。

前月(2025年12月)のレポートで注目していた2指標の結果を先にお伝えします。
① 貸家の3か月移動平均:510.7戸→436.7戸500戸超は未達。1月の単月低調により後退)
② 全住宅の3か月移動平均:966.0戸→837.7戸1,000戸台は未達。同様に1月の落ち込みが影響)

ただし前年同月比はそれぞれ+22.4%・+17.1%(3か月移動平均ベース)でプラスを維持しており、基調としての回復は続いています

① 賃貸住宅(貸家)の着工は319戸
前の年の同じ月と比べると、+19.0%のプラスです。

② 全住宅(持家・貸家・分譲・給与住宅合計)の着工は650戸
前年同月比は+24.5%で、2025年8月から6か月連続のプラスが続いています。

③ 年間の需給バランスは1.1倍(着工9,916戸÷世帯純増8,645世帯)。
需給均衡の目安「1.0倍」に近い水準です。

ではなぜ?数字の背景を読み解く

貸家着工:単月は低調も3か月移動平均は回復継続

2026年1月の貸家着工319戸は、3か月移動平均(直近3か月の平均)の436.7戸を26.9%下回りました。
これは月次変動の大きさを示しています。

つまり、1か月だけ見ると低調に見えます。
でも基調を示す3か月移動平均は上昇傾向を維持しています。

底値は2025年7月の305.7戸
そこから2026年1月には436.7戸まで、+42.9%の上昇です。

全住宅着工:6か月連続プラスで基調回復が鮮明

全住宅の3か月移動平均は837.7戸(前年同期比+17.1%)。
2025年7月の底値(610.3戸)から+37.3%上昇しています。

ではなぜ単月実績(650戸)は低いのでしょうか?
1月は着工が集中しにくい季節的な要因も影響しています。
3か月移動平均が安定的に上昇していることが重要な確認ポイントです。

長期トレンド:需給は均衡圏で推移

2025年の着工/世帯純増倍率は1.1倍
2022年の1.0倍以降、3年連続で均衡圏内です。

つまり「つくりすぎ」でも「足りない」でもない、バランスのとれた状態です。
ただし貸家着工は2013年のピーク(10,772戸)の46.2%(4,979戸)に留まっており、構造的な供給縮小が続いています。

データで見る:直近12か月の貸家着工

月ごとの変動が大きい点に注目してください。
3か月移動平均の欄が、基調を読み取る上で最も重要な指標です。

年月 着工戸数 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 貸家比率 3か月移動平均 前年同期3か月移動平均比
2025-02 273 15,225 55.8 45.1% 287.7 -16.5%
2025-03 510 32,598 63.9 44.2% 350.3 +15.1%
2025-04 494 28,774 58.2 47.8% 425.7 +22.7%
2025-05 162 10,473 64.6 39.9% 388.7 -9.3%
2025-06 302 19,155 63.4 46.9% 319.3 -40.1%
2025-07 453 23,542 52.0 58.0% 305.7 -45.8%
2025-08 346 19,012 54.9 42.4% 367.0 -28.5%
2025-09 639 29,602 46.3 60.6% 479.3 -0.3%
2025-10 541 29,571 54.7 52.3% 508.7 +17.6%
2025-11 384 23,340 60.8 43.9% 521.3 +9.8%
2025-12 607 34,932 57.5 61.4% 510.7 +22.8%
2026-01 319 15,993 50.1 49.1% 436.7 +22.4%

3か月移動平均は367.0→479.3→508.7→521.3→510.7→436.7と推移しています。
底値(305.7戸、2025年7月)からの回復傾向は明確です。

データで見る:直近12か月の全住宅着工

全住宅の動向は市場全体の回復感を示します。
前年同月比がプラスに転じた2025年8月以降の流れに注目してください。

年月 全住宅着工 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 前年同月比 3か月移動平均 前年同期比(3か月MA)
2025-02 605 48,352 79.9 -5.5% 661.7 -20.9%
2025-03 1,155 96,076 83.2 +81.0% 760.7 +11.5%
2025-04 1,034 81,155 78.5 +21.4% 931.3 +31.2%
2025-05 406 35,005 86.2 -49.5% 865.0 +13.1%
2025-06 644 49,713 77.2 -33.1% 694.7 -20.4%
2025-07 781 55,397 70.9 -18.2% 610.3 -32.7%
2025-08 816 57,883 70.9 +9.7% 747.0 -15.8%
2025-09 1,055 72,227 68.5 +30.2% 884.0 +5.7%
2025-10 1,035 77,810 75.2 +14.2% 968.7 +18.1%
2025-11 875 69,883 79.9 +14.2% 988.3 +19.5%
2025-12 988 74,896 75.8 +15.2% 966.0 +14.5%
2026-01 650 46,035 70.8 +24.5% 837.7 +17.1%

2025年8月以降、前年同月比が6か月連続プラスです。
3か月移動平均も底値(610.3戸)から+37.3%上昇と回復が続いています。

データで見る:長期年次トレンド(2007年〜2025年)

着工/世帯純増倍率(住宅をつくりすぎていないかの指標)に注目してください。
1.0倍が需給均衡の目安です。

人口(万人) 世帯数(万) 世帯純増 全住宅着工 うち貸家 総床面積(㎡) 戸当たり(㎡/戸) 着工/世帯純増(倍)
2007 137.3 50.2 5,972 10,876 7,307 497,955 68.1 1.8
2008 137.7 50.8 5,666 12,300 7,570 472,570 62.4 2.2
2009 138.5 51.4 6,133 11,747 8,292 546,683 65.9 1.9
2010 139.3 52.0 6,324 10,709 7,381 452,286 61.3 1.7
2011 140.3 52.9 8,924 11,828 7,547 476,517 63.1 1.3
2012 141.2 53.6 7,257 12,713 8,253 496,611 60.2 1.8
2013 141.9 54.3 6,812 16,618 10,772 640,892 59.5 2.4
2014 142.6 55.1 7,541 15,426 10,914 637,717 58.4 2.0
2015 143.4 56.0 9,699 16,136 10,726 553,986 51.6 1.7
2016 144.2 57.1 11,067 16,201 11,135 551,688 49.5 1.5
2017 144.7 58.1 9,939 16,591 11,263 546,466 48.5 1.7
2018 145.3 59.2 10,667 16,803 11,282 530,020 47.0 1.6
2019 146.1 60.5 12,528 15,098 9,227 470,078 50.9 1.2
2020 146.7 61.5 10,083 10,703 5,683 317,123 55.8 1.1
2021 146.9 62.3 8,455 9,668 4,399 240,276 54.6 1.1
2022 146.9 63.2 8,919 9,179 3,647 225,547 61.8 1.0
2023 146.8 64.1 9,266 10,183 4,417 262,924 59.5 1.1
2024 146.7 65.1 10,027 9,703 5,202 281,336 54.1 1.0
2025 146.6 66.0 8,645 9,916 4,979 281,134 56.5 1.1

2013年のピーク(貸家10,772戸、倍率2.4倍)から大きく縮小しました。
近年は均衡圏(1.0〜1.1倍)で推移しており、過剰供給のリスクは抑制されています。

データで見る:全国比較(沖縄 vs 全国)

沖縄と全国の指数を比べると、貸家部門の特徴的な差が見えます。
2020年を100とした指数で、沖縄の位置を確認してみましょう。

総着工指数(沖縄) 総着工指数(全国) 貸家指数(沖縄) 貸家指数(全国) 貸家比率(沖縄) 貸家比率(全国) 貸家比率前年差(沖縄) 貸家比率前年差(全国)
2007 101.6 130.1 128.6 102.6 67.2% 29.7% -1.6% -1.4%
2008 114.9 134.1 133.2 103.8 61.5% 29.1% -5.6% -0.6%
2009 109.8 96.7 145.9 92.8 70.6% 36.1% +9.0% +7.0%
2010 100.1 99.7 129.9 99.5 68.9% 37.5% -1.7% +1.4%
2011 110.5 102.3 132.8 99.6 63.8% 36.6% -5.1% -0.9%
2012 118.8 108.3 145.2 101.6 64.9% 35.3% +1.1% -1.3%
2013 155.3 120.2 189.5 115.7 64.8% 36.2% -0.1% +0.9%
2014 144.1 109.4 192.0 93.0 70.8% 32.0% +5.9% -4.2%
2015 150.8 111.5 188.7 92.4 66.5% 31.2% -4.3% -0.8%
2016 151.4 118.6 195.9 95.3 68.7% 30.2% +2.3% -0.9%
2017 155.0 118.3 198.2 92.7 67.9% 29.5% -0.8% -0.7%
2018 157.0 115.6 198.5 92.3 67.1% 30.1% -0.7% +0.6%
2019 141.1 111.0 162.4 94.1 61.1% 31.9% -6.0% +1.8%
2020 100.0 100.0 100.0 100.0 53.1% 37.6% -8.0% +5.7%
2021 90.3 105.0 77.4 93.1 45.5% 33.3% -7.6% -4.3%
2022 85.8 105.4 64.2 112.5 39.7% 40.1% -5.8% +6.8%
2023 95.1 100.5 77.7 112.1 43.4% 42.0% +3.6% +1.8%
2024 90.7 97.2 91.5 111.5 53.6% 43.2% +10.2% +1.2%
2025 92.6 90.8 87.6 105.9 50.2% 43.9% -3.4% +0.7%

2025年、総着工は沖縄92.6・全国90.8とほぼ同水準に並びました。
しかし貸家に絞ると沖縄87.6・全国105.9と、18.3ポイントの格差があります。

着工密度で見る:人口・世帯規模の影響を除いた比較

地域の大きさの違いを除いて比べるのが「着工密度」です。
人口1万人・世帯1万当たりの着工戸数で、供給圧力を測ります。

人口1万人当たり(沖縄) 人口1万人当たり(全国) 世帯1万当たり(沖縄) 世帯1万当たり(全国)
2007 79.2 82.8 216.6 211.4
2008 89.3 85.6 242.3 215.6
2009 84.8 61.8 228.6 153.7
2010 76.9 63.5 205.9 156.8
2011 84.3 65.3 223.5 159.9
2012 90.1 69.2 237.0 168.2
2013 117.1 76.9 305.9 185.6
2014 108.2 70.1 280.1 167.9
2015 112.6 71.5 287.9 170.1
2016 112.4 76.2 283.5 179.5
2017 114.6 76.1 285.3 177.5
2018 115.6 74.5 283.8 172.0
2019 103.3 71.7 249.7 163.8
2020 72.9 64.9 174.1 146.4
2021 65.8 68.2 155.1 152.4
2022 62.5 68.8 145.2 151.6
2023 69.3 65.9 158.8 143.3
2024 66.1 64.0 149.0 137.3
2025 67.6 60.1 150.2 127.3

2025年の世帯1万当たり着工は沖縄150.2戸・全国127.3戸。
ピーク(2013年305.9戸)比では49.1%の水準まで縮小しています。

この回復は本物か?次月に確認すべき2つのポイント

基調としての回復は続いています。
でも次月(2026年2月)に確認したい指標が2つあります。

貸家の3か月移動平均が500戸台に再上昇するか
直近ピーク(521.3戸、2025年11月)を上回る持続的な回復かどうかが焦点です。

全住宅の3か月移動平均が900戸台を回復するか
中長期的に1,000戸台での安定が市場回復の本格化を示す目安です。

さて、沖縄の住宅市場の回復はどこまで続くのでしょうか。
空室率・賃料水準などの実需指標と合わせて、今後の動向を見守っていきましょう。

より詳しいデータと分析は、統計レポート版でご確認いただけます。

【詳細レポート】沖縄の新設住宅着工統計 2026年1月|ValueLab

※出典:沖縄県土木建築部 建築指導課 住宅着工統計(月次)、国土交通省 建築着工統計調査 住宅着工統計(e-Stat 統計コード: 00600120)

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