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  • 生活物価+2.7%、家賃+0.9%――2026年8月の沖縄CPIと修繕費を読む

    生活物価+2.7%、家賃+0.9%――2026年8月の沖縄CPIと修繕費を読む

    物価上昇のペースが鈍ったら、賃貸経営の負担は軽くなるのでしょうか

    2026年8月の沖縄県では、生活物価全体が前年比+2.7%、家賃が+0.9%、修繕費が+1.9%でした。

    生活物価ほど家賃は伸びず、修繕費は家賃より強く上がっています。入居者の生活費と、オーナーの修繕支出の両方を見る必要があります。

    総合CPIの前年比は7月の+2.9%から鈍りましたが、物価は前年を上回っています。上昇率が低くなっても、賃貸経営の負担が軽くなるとは限りません。

    では、オーナーは何を押さえればよいのでしょうか。

    まず結論から

    押さえたいのは、次の3点です。

    1. 物価上昇は続いています。 上昇率の鈍化を、価格が下がったと読まないことが大切です。
    2. 家賃の伸びは生活物価より小幅です。 入居者には家賃が比較的落ち着いて見えても、値上げに応じる余裕があるとは限りません。
    3. 修繕費は家賃より強く上がっています。 オーナーは工事の見積額と家賃収入を照合し、手残りを確認します。

    この記事の家賃はCPIの「持家の帰属家賃を除く家賃」、修繕費は「設備修繕・維持」を指します。個別物件の成約家賃や工事価格とは異なります。

    まず、7月から8月にかけて、物価はどう変わったのでしょうか。

    2026年8月の沖縄で何が起きているか

    沖縄県では物価上昇率が鈍り、那覇市では高まりました。県全体と那覇市では、動きが異なります。

    具体的な違いを、6〜8月の数字で見てみましょう。

    沖縄県は鈍化、那覇市は上昇

    沖縄県の総合CPIは、前年比+2.9%から+2.7%へ鈍化しました。一方、那覇市は+2.1%から+2.3%へ上昇しています。

    地域・指標 2026年6月 2026年7月 2026年8月
    沖縄県・総合 +2.3% +2.9% +2.7%
    沖縄県・住居 +2.1% +1.3% +1.4%
    沖縄県・食料 +2.9% +4.3% +3.5%
    沖縄県・光熱・水道 −0.5% +2.2% +1.7%
    那覇市・総合 +1.5% +2.1% +2.3%
    那覇市・住居 +1.2% +1.1% +1.3%
    那覇市・食料 +2.6% +3.8% +3.8%
    那覇市・光熱・水道 −3.8% −1.4% −1.2%

    ※すべて前年同月比。8月分のExcelに掲載された2025年基準の数値で統一しています。

    沖縄県では、食料や光熱費の上昇率も鈍りました。ただし、8月の総合・食料は前月比で横ばいです。前年比が低くなったことと、前月から価格が下がったことは別です。

    光熱・水道は前月比−4.1%でしたが、前年同月比では+1.7%です。「7月より安いが、前年8月より高い」という動きでした。

    では、沖縄県全体の生活物価と家賃の動きを、入居者側から見るとどう捉えられるでしょうか。

    家賃の伸びが小さくても、入居者の余裕は分かりません

    沖縄県全体の統計では、生活物価全体が前年比+2.7%に対し、家賃は+0.9%でした。地域全体で見ると、家賃の伸びは生活物価より小幅です。

    この動きを入居者側から見ると、「生活費は上がっているが、家賃全体の上昇はそれほど大きくない」と捉えられる可能性があります。

    しかし、収入が変わらないまま食料や光熱費への支出が増えれば、家賃に回せるお金は減ります。「家賃まで上がると困る」という受け止め方も考えられます。

    家賃の伸びが小さいからといって、入居者に値上げを受け入れる余裕があるとは判断できません。

    ここでは地域全体の傾向を説明しており、特定の部屋の家賃や入居者の実感を示しているわけではありません。CPIは入居者の意識や所得を調べた統計ではありません。

    家賃の見直しでは、周辺相場だけでなく、自分の物件の設備や管理の状況も確認します。増額する理由を、物件の条件に沿って説明することが大切です。

    生活物価と住まいの費用の差が続いているかは、複数月で確認します。下の表では、家賃とは別に「住居CPI」を使っています。

    住居CPIには、家賃・修繕費・持家の帰属家賃が含まれます。帰属家賃は、持ち家に見込む家賃相当額です。

    対象月 地域 総合前年比 住居前年比 差分(住居前年比−総合前年比)
    2026年3月 沖縄県 +1.4% +1.3% −0.1ポイント
    2026年4月 沖縄県 +1.5% +1.3% −0.2ポイント
    2026年5月 沖縄県 +2.1% +1.9% −0.2ポイント
    2026年6月 沖縄県 +2.3% +2.1% −0.2ポイント
    2026年7月 沖縄県 +2.9% +1.3% −1.6ポイント
    2026年8月 沖縄県 +2.7% +1.4% −1.3ポイント
    2026年3月 那覇市 +1.0% +1.4% +0.4ポイント
    2026年4月 那覇市 +1.0% +1.2% +0.2ポイント
    2026年5月 那覇市 +1.3% +1.0% −0.3ポイント
    2026年6月 那覇市 +1.5% +1.2% −0.3ポイント
    2026年7月 那覇市 +2.1% +1.1% −1.0ポイント
    2026年8月 那覇市 +2.3% +1.3% −1.0ポイント

    ※差分は同じ月の「住居前年比−総合前年比」です。前月からの価格変化や、家賃の値上げ幅を示すものではありません。

    沖縄県では3〜8月、那覇市では5〜8月に、住居費の伸びが生活物価全体を下回りました。

    では、オーナーが支払う修繕費は、家賃に比べてどれほど伸びているのでしょうか。

    修繕費の伸びは家賃を上回っています

    沖縄県の修繕費は前年比+1.9%、家賃は+0.9%で、差は+1.0ポイントです。ただし、この差は手残りや利回りの減少幅ではありません。

    2026年8月の指標 沖縄県 那覇市
    設備修繕・維持の指数(2025年=100) 102.0 101.9
    設備修繕・維持の前年比 +1.9% +1.6%
    持家の帰属家賃を除く家賃の前年比 +0.9% +1.1%
    前年比の差分(修繕−家賃) +1.0ポイント +0.5ポイント

    ※差分は同じ地域の前年比同士で計算しています。指数は2025年平均を100とした値です。旧2020年基準の指数とは直接比較できません。

    計算例:伸び率が高い支出でも、金額は別に比べる

    年間家賃収入120万円、修繕支出20万円を考えます。仮にそれぞれ0.9%・1.9%増えると、増加額は1万800円・3,800円です。

    この例では、修繕支出を引いた残額は7,000円増えます。家賃と修繕費では元の金額が違うため、伸び率の差だけでは手残りの増減は分かりません。

    家賃などの収入が変わらず、修繕支出だけ増えれば、手残りは減ります。自分の物件では、実際の家賃収入と工事の見積額で計算します。

    では、自分の物件で確認することを、3つに整理するとどうなるでしょうか。

    オーナー向け3点チェック

    確認するのは、家賃の条件、年間の手残り、工事の支払資金です。

    まず、家賃を見直す前に何を確認すればよいのでしょうか。

    ① 家賃を見直す前に、周辺相場と物件の条件を確認する

    物価が上がった分を、そのまま家賃に上乗せすることはできません。

    入居者は家賃以外の値上がりにも直面しています。見直す際には、周辺相場や設備・管理の状況など、増額する理由を整理することが大切です。

    管理会社と、条件が近い物件の成約賃料・募集期間を確認しましょう。

    家賃の条件を確かめたら、手残りはどう確認すればよいのでしょうか。

    ② 修繕費を入れて、手残りを計算する

    修繕費の伸びが家賃を上回っても、手残りが減るかは金額次第です。

    家賃収入と修繕支出では、元の金額が違います。伸び率の差ではなく、自分の物件の収入と支出で確かめます。

    予定工事の見積額を更新し、家賃収入から修繕費・返済などを引いた残額を確認しましょう。

    年間収支が黒字なら、工事の支払いも心配ないのでしょうか。

    ③ 工事の支払日に、資金が足りるか確認する

    年間収支が黒字でも、工事代金を払う日に資金が足りない場合があります。

    ②は「年間でいくら残るか」、③は「支払う日にお金があるか」の確認です。

    工事の支払日と家賃の入金日を並べ、空室が出ても支払えるか確認しましょう。

    では、7月と比べて、注意すべき差は縮まったのでしょうか。

    7月から変わったこと

    沖縄県では、生活物価の上昇率と、住居・家賃との伸びの差が小さくなりました。

    1. 総合・食料・光熱費の上昇率が鈍化。 総合は+2.9%から+2.7%、食料は+4.3%から+3.5%、光熱・水道は+2.2%から+1.7%です。
    2. 住居と総合の差が縮小。 −1.6ポイントから−1.3ポイントになりましたが、住居費の伸びは総合を下回っています。
    3. 修繕と家賃の差も縮小。 修繕は+2.2%から+1.9%、家賃は+0.9%で変わらず、差は+1.3ポイントから+1.0ポイントになりました。

    差は縮まりましたが、生活物価と修繕費の指数は前年を上回っています。

    この変化を、自分の物件の確認にどう生かせばよいのでしょうか。

    まとめ――統計を、自分の物件の確認につなげる

    家賃の見直しだけを考えず、修繕費と資金繰りも一緒に確認します。

    8月の沖縄県は、生活物価全体が前年比+2.7%、家賃が+0.9%、修繕費が+1.9%でした。物価上昇は続き、家賃の伸びは小幅にとどまっています。

    入居者には、家賃以外の値上がりがあります。オーナーには、家賃より強く伸びる修繕費があります。家賃を見直すなら物件ごとの理由を整理し、手残りは実際の金額で確かめます。

    CPIだけで売却・保有は決められません。売却を考える場合は、実際の賃料・稼働率・修繕履歴・将来費用・取引事例・金利環境も確認します。

    ご自身の物件では、家賃収入と修繕費を現在の金額で確認できていますか。

     

    参考資料

    • 沖縄県企画部統計課「那覇市及び沖縄県の消費者物価指数の動向」2026年8月分(2026年10月2日公表):統計表(Excel)。表-2・表-4の前年同月比・前月比、表-7・表-8の中分類指数を使用。比較月の数値も同じ統計表に統一しています。
    • 沖縄県:消費者物価指数トップページ。2025年基準への変更および8月分の公表資料を確認。
  • 生活物価+2.9%、住居+1.3%――2026年7月の沖縄CPIを6月と比べて読む

    生活物価+2.9%、住居+1.3%――2026年7月の沖縄CPIを6月と比べて読む

    1. 物価が上がれば、家賃も上げやすいのでしょうか

    「生活費も修繕費も上がっている。そろそろ家賃を見直したい」。そう感じても、入居者にどのように説明するかで迷うことはないでしょうか。

    2026年7月の沖縄県の消費者物価指数(CPI)は、総合が前年同月比+2.9%でした。一方、家賃や修繕などを含む住居は+1.3%です。

    6月と比べると、生活物価全体の伸びは強まり、住居費の伸びは鈍っています。オーナーにとっては、家賃の見直しと、入居者の生活費・自分の修繕費への備えを一緒に考えたい月です。

    この記事では、5月から7月の動きを確認しながら、家賃・修繕費・手残りを分けて整理します。まず、6月から何が変わったのでしょうか。

    2. 何が起きたのか――5・6・7月の比較

    大きな変化は、総合CPIと住居CPIの伸びの差が広がったことです。沖縄県と那覇市のどちらでも、7月は総合の前年比が高まり、住居の前年比は低下しました。

    地域・指標 2026年5月 2026年6月 2026年7月
    沖縄県・総合 +2.1% +2.3% +2.9%
    沖縄県・住居 +1.9% +2.1% +1.3%
    沖縄県・食料 +2.7% +2.9% +4.3%
    沖縄県・光熱・水道 −0.6% −0.5% +2.2%
    那覇市・総合 +1.3% +1.5% +2.1%
    那覇市・住居 +1.0% +1.2% +1.1%

    ※すべて前年同月比。7月公表の2025年基準の統計表に掲載された数値で統一しています。

    沖縄県では、6月から7月にかけて総合の前年比が0.6ポイント高まり、住居の前年比は0.8ポイント低下しました。これは「前年比の変化」であり、住居費が前月から0.8%下がったという意味ではありません。

    5月の記事と数値が違うのは、なぜでしょうか

    7月分から、CPIの基準が「2020年=100」から「2025年=100」に変わりました。品目や、各費目をどの程度重く計算するかを示すウエイトも見直されています。

    本記事では比較条件をそろえるため、5月・6月も7月公表資料に載っている新基準の数値を使います。そのため、旧基準で作成した5月の記事や6月の分析レポートとは数値が異なります。

    では、生活物価全体の伸びが強まった背景には、どの費目の動きがあるのでしょうか。

    3. なぜ起きたのか――食料・光熱費・住居費の動き

    7月の沖縄県では、食料の前年比が+4.3%へ高まりました。光熱・水道も、6月の−0.5%から7月は+2.2%となり、前年を上回る動きに変わっています。

    食料や光熱費は、日常生活で繰り返し支払う費用です。こうした価格の上昇は、入居者が家賃以外に負担する生活費を確認する材料になります。

    ただし、CPIは価格の動きを示す統計です。所得や購入量、世帯構成も異なるため、実際の家計負担がどれだけ増えたかまでは、この数字だけでは分かりません。

    また、原表で確認できるのは費目ごとの価格変化です。食料の値上がりや光熱費の変動を、天候や補助制度など一つの原因に結び付けて説明するには、別の資料による確認が必要です。

    住居費の伸びが総合より小さいことも、「家賃を上げられない」という結論には直結しません。住居CPIには家賃以外の費用や、持ち家に家賃相当額を見込む「持家の帰属家賃」も含まれます。

    そのため、総合と住居の差は、生活物価と住まいの費用の動きを見比べる補助材料として使います。

    個別物件の賃料設定には、さらに何を確認すればよいのでしょうか。

    4. 沖縄ではどう考えるか

    確認したいのは、自分の物件の賃料条件と、入居者の生活費、今後の修繕負担の3つです。

    7月のように生活物価の伸びが住居費を上回る月は、家賃改定を検討する際にも、入居者が住居費以外の値上がりに直面している可能性を考えておきたいところです。

    既存入居者については、現在の家賃、契約内容、設備や管理の状況を確認します。新規募集では、周辺の募集賃料に加え、成約事例や募集期間も管理会社と照合すると、実態をつかみやすくなります。

    地域全体のCPIだけで、特定の部屋の値上げ幅や退去の可能性は判断できません。生活費への負担感を意識しつつ、その物件について説明できる材料を用意することが大切です。

    オーナー側では、外壁・屋上防水、エアコン、給湯器などの修繕予定も確認します。海に近い物件なら塩害、過去に台風被害があった物件なら補修履歴など、立地と建物の状態に沿って点検しましょう。

    では、家賃と修繕費の数字を、手残りの確認にどうつなげればよいのでしょうか。

    5. 家賃・修繕費・手残りを分けて見る

    まずは、生活物価と住居費の関係を数か月で確認します。次の表は、同じ月の「住居の前年比」から「総合の前年比」を引いたものです。

    住居CPIと総合CPIの差分推移

    対象月 那覇市:差分(住居前年比−総合前年比) 沖縄県:差分(住居前年比−総合前年比)
    2026年2月 +0.8ポイント +0.2ポイント
    2026年3月 +0.4ポイント −0.1ポイント
    2026年4月 +0.2ポイント −0.2ポイント
    2026年5月 −0.3ポイント −0.2ポイント
    2026年6月 −0.3ポイント −0.2ポイント
    2026年7月 −1.0ポイント −1.6ポイント

    ※2025年基準。差分は同じ月の前年比同士の差であり、前月差ではありません。

    この表は、「住まいにかかる費用の上がり方が、生活物価全体に比べて大きいか、小さいか」を見るものです。プラスなら住居費の伸びが大きく、マイナスなら生活物価全体の伸びの方が大きいことを表します。

    例えば、7月の沖縄県は、総合が前年比+2.9%、住居が+1.3%でした。差分は「1.3−2.9=−1.6ポイント」です。

    つまり、住居費も前年より上がっていますが、生活物価全体ほどは上がっていません。マイナスだからといって、家賃が下がっているという意味ではありません。

    この差は、家賃の見直しとどう関係するのでしょうか

    入居者には、家賃のほかにも食費や光熱費の支払いがあります。7月のように食料や光熱費も前年より上がっている中で家賃が引き上げられると、追加の負担を感じる可能性があります。

    ただし、実際の負担感は収入や家族構成によって異なります。この差分だけで、入居者の家計が悪化した、退去が増えるとまでは判断できません。

    オーナーにとっては、「物価が上がった分を、そのまま家賃に上乗せしてよいだろうか」と立ち止まって確認するきっかけになります。

    例えば、総合CPIが+2.9%だから家賃も2.9%上げられる、差分が−1.6ポイントだからあと1.6%上げられる、という読み方はできません。住居CPIも家賃だけを示す指標ではないためです。

    家賃を見直すなら、周辺の成約賃料と現在の家賃を比べ、設備や管理状態も確認します。そのうえで、改定後も住み続けてもらえる条件か、仮に退去・空室が発生しても収支が成り立つかを検討します。

    那覇市は5月から、沖縄県は3月からマイナスが続き、7月はその差が広がりました。生活物価全体の伸びが住居費を上回る状態が続いているため、物価の上昇率だけで決めず、自分の物件の条件を確かめることが大切です。

    修繕費の伸びは、家賃の伸びを上回る

    次に、7月の設備修繕・維持と家賃を比べます。ここでは住居全体とは区別し、「持家の帰属家賃を除く家賃」を使います。

    2026年7月の指標 沖縄県 那覇市
    設備修繕・維持の指数(2025年=100) 102.2 102.0
    設備修繕・維持の前年比 +2.2% +2.0%
    持家の帰属家賃を除く家賃の前年比 +0.9% +0.9%
    前年比の差分(修繕−家賃) +1.3ポイント +1.1ポイント

    沖縄県では、修繕費の前年比が家賃を1.3ポイント上回っています。これは保有中の収支を圧迫しうる材料ですが、手残りや利回りが1.3ポイント減ったという意味ではありません。

    家賃収入と修繕支出では金額も発生時期も違います。実際の影響は、家賃収入、稼働率、工事の見積額を使って確かめる必要があります。

    また、CPIの家賃は新規契約の成約家賃そのものではなく、設備修繕・維持指数も自分の物件の工事見積額そのものではありません。統計をきっかけに、手元の収支表を更新することが大切です。

    指数の基準が変わっても、修繕費が急に安くなったわけではない

    7月の沖縄県の設備修繕・維持指数102.2は、2025年平均を100として2.2%高い水準という意味です。前年同月比+2.2%とは比較対象が異なります。

    5月の記事にあった154.1は2020年基準です。基準の異なる102.2と直接比べて、修繕費が大幅に下がったと読むことはできません。

    CPIは売却価格や取引事例も直接示しません。売却か保有かを考える場合は、実際の賃料、稼働率、修繕履歴、将来費用、取引事例、金利環境を合わせて確認します。

    こうした違いを踏まえ、今の物件で最初に見直すべき項目を整理しましょう。

    6. 今日から確認したいポイント

    1. 賃料の比較条件をそろえる。 周辺物件の立地・築年数・設備を確認し、募集賃料と成約事例を分けて整理する。
    2. 既存入居者と新規募集を分けて考える。 既存入居者への説明材料と、新規募集で選ばれる条件をそれぞれ確認する。
    3. 今後3年程度の修繕予定を現在単価で見直す。 過去の見積額だけに頼らず、予定工事の概算と資金準備を更新する。
    4. 空室が出た場合も収支を確かめる。 修繕費だけでなく、空室期間や募集費用を含めた手残りを見る。
    5. 統計の比較条件を確認する。 対象月、地域、前年比・前月比、指数の基準年をそろえて読む。

    この確認を通じて、CPIを「物価が上がった」というニュースから、自分の賃貸経営を点検する材料へ変えられます。

    7. まとめ

    2026年7月の沖縄県は、総合CPIが前年比+2.9%、住居が+1.3%でした。6月よりも生活物価と住居費の伸びの差が広がり、食料や光熱費の動きも確認したい月です。

    一方、設備修繕・維持は前年比+2.2%で、持家の帰属家賃を除く家賃の+0.9%を上回っています。家賃の見直しと同時に、修繕費を織り込んだ保有収支を確かめる必要があります。

    今回の基準改定で、指数の見た目も変わりました。過去の数字をそのまま並べず、比較条件をそろえることも、判断を誤らないための一歩です。

    家賃収入の見込みと、今後の修繕費。
    ご自身の物件では、どちらも現在の条件で見直せているでしょうか。

     

    参考資料
    沖縄県企画部統計課「那覇市及び沖縄県の消費者物価指数」2026年7月分(2026年8月28日公表):統計表(Excel)、沖縄県「消費者物価指数 2025年基準改定の内容について」:基準改定資料(PDF)、総務省統計局:2025年基準改定について

  • 修繕費+2.8%、家賃+1.1% — 2026年4月の沖縄物価と実質利回りを読む

    修繕費+2.8%、家賃+1.1% — 2026年4月の沖縄物価と実質利回りを読む

    家賃は上げられるのに、手残りが増えにくいのはなぜでしょうか?

    2026年4月の沖縄CPIを見ると、那覇市では住居CPIが総合CPIを上回り、家賃改定余地は確認できます。
    別の論点として、沖縄県全体のコスト環境では修繕費の上昇が家賃の伸びを上回っており、表面上の賃料上昇だけでは収益改善を判断しにくい月です。

    まず結論から

    今月の特徴は、那覇市の賃料環境には追い風がある一方で、沖縄県全体のコスト環境では修繕費が重くなっていることです。

    • 那覇市の住居CPIは前年比+1.2%で、総合CPI+1.0%を上回りました。
    • 沖縄県の設備修繕・維持指数は154.0で、2020年当時と比べて約54%高い水準を示しています。
    • 沖縄県ベースでは、修繕費前年比+2.8%が実勢家賃前年比+1.1%を上回り、差分は+1.70%ptです。

    物価から読む沖縄不動産のいま

    那覇の家賃環境

    那覇市では、住居CPIが前年比+1.2%、総合CPIが+1.0%でした。
    住居CPIは家賃や住宅関連費用の動きを見る指標で、総合CPIは生活全体の物価を表します。
    住居CPIが総合CPIを上回っているため、那覇市内では家賃改定が一定程度受け入れられている可能性があります。

    ただし、沖縄県全体では住居CPI+1.3%に対して総合CPI+1.6%です。
    県全体では住居の伸びが総合物価を下回っており、那覇市の状況を県内全域へそのまま当てはめるのは慎重に見る必要があります。

    入居者の家計は今どんな状態か

    入居者負担圧力は、食料前年比と光熱・水道前年比を足し、そこから総合CPI前年比を差し引く指標です。
    今回は沖縄県で食料+2.4%、光熱・水道-1.9%、総合+1.6%となり、入居者負担圧力は-1.1%ptでした。

    この数値だけを見ると、入居者の家計圧力は強く出ていません。
    家計圧力が高まると、可処分所得が減り、退去や住み替えの検討が増え、空室リスクにつながる可能性があります。
    今月はその圧力が低めに出ていますが、光熱費の下落には政府補助の影響が含まれるため、補助縮小時には反転するリスクがあります。

    修繕費インフレはなぜ問題なのか

    沖縄県の設備修繕・維持指数は154.0です。
    この指数は総務省のCPIで使われている「2020年=100」を基準にしており、154.0は2020年当時と比べて約54%高い水準を示します。
    指数が150を超えているため、取得時に想定していた修繕費見込みが、現在の物価水準では陳腐化している可能性があります。

    沖縄は台風や塩害による設備劣化が起きやすく、修繕の頻度や単価が収益に与える影響も大きくなりがちです。
    特に今月は、沖縄県ベースで設備修繕・維持前年比+2.8%に対し、実勢家賃前年比は+1.1%です。
    修繕費の伸びが家賃の伸びを上回っているため、実質利回りを押し下げる方向に働いていると読めます。

    数字で確認する

    賃料改定余地モニター

    指標 那覇市 沖縄県 全国
    住居 前年比 +1.2% +1.3% +0.8%
    総合CPI 前年比 +1.0% +1.6% +1.4%
    賃改定余地 高め(住居>総合) 低め(住居<総合) –

    修繕費インフレの現状

    品目 沖縄県 那覇市
    設備修繕・維持 指数 154.0 146.0
    設備修繕・維持 前年比 +2.8% +2.6%

    ※指数は総務省CPIの基準年である2020年=100です。
    地域間の実価格差ではなく、2020年当時からの変化幅を示します。

    入居者の家計耐性

    品目 沖縄県 前年比
    食料 +2.4%
    光熱・水道 -1.9%
    総合 +1.6%
    入居者負担圧力 -1.1%pt

    ※入居者負担圧力 = 食料前年比 + 光熱・水道前年比 – 総合CPI前年比。

    実質利回り圧迫アラート

    項目 値
    設備修繕・維持 前年比(沖縄県) +2.8%
    実勢家賃 前年比(帰属家賃除く) +1.1%
    差分(修繕 – 家賃) +1.70%pt
    アラートレベル 強警戒

    まとめ

    2026年4月のCPIでは、那覇市の賃料環境には追い風が見えます。
    一方、資金面では沖縄県全体のコスト環境を別枠で確認する必要があります。
    県全体では修繕費の上昇が家賃の伸びを上回っており、実質利回りには強い注意が必要です。

    今月の判断軸は、賃料は「那覇市では改定余地あり」、売るか持つかは「修繕費と家賃差分を見て要注意」、資金面は「強警戒」です。
    家賃改定の検討と同時に、修繕費の見積もりを現在単価で見直していますか?

    出典:総務省「消費者物価指数 地方版 2026年4月」。元資料は `cp202604.xlsx`、指数基準年は2020年=100です。