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  • 貸家3か月平均は557戸へ低下。それでも沖縄の住宅着工は前年同期を上回る|定点観測(2026年6月)

    貸家3か月平均は557戸へ低下。それでも沖縄の住宅着工は前年同期を上回る|定点観測(2026年6月)

    600戸台を維持できなかった貸家着工を、どう読めばよいのでしょうか

    沖縄で賃貸経営や収益物件の保有を考えるとき、新しい貸家がどれだけ着工されたかは、将来の募集競争を考える材料になります。

    ただし、1か月の戸数だけで、供給過多や需要の強さを決めることはできません。

    この記事では、沖縄県土木建築部 建築指導課の住宅着工統計をもとに、2026年6月の数字を確認します。

    前月までの回復が続いているのかを、単月、3か月移動平均、前年同期との比較に分けて見ていきます。

    2026年6月の貸家着工は496戸でした。4〜6月の3か月移動平均は557.3戸となり、前月の636.0戸から下がっています。

    前月に確認点とした「貸家の3か月移動平均が600戸台を保てるか」は、今回は未達でした。

    では、この低下は供給が再び弱くなったことを意味するのでしょうか。

    496戸は3か月平均を下回ったが、前年同月より194戸多い

    2026年6月の貸家着工は496戸で、前年同月の302戸から194戸増えました。前年同月比は+64.2%です。

    ただし、6月単月は4〜6月の3か月移動平均557.3戸を61.3戸、11.0%下回りました。
    前年比がプラスでも、6月に着工が集中したわけではありません。

    指標 2026年6月 比較対象
    貸家着工戸数 496戸 2025年6月は302戸
    前年同月比 +64.2% 2025年6月比
    3か月移動平均 557.3戸 2025年同時期比+74.5%
    単月と3か月移動平均の差 -61.3戸 単月は平均より-11.0%

    2025年4〜6月は、貸家着工が494戸、162戸、302戸と月ごとの振れが大きく、3か月平均は319.3戸でした。

    今年4〜6月の3か月平均は前年同期を238.0戸上回っています。単月の反動だけでなく、複数月で見ても前年より高い水準です。

    一方で、3か月平均は600戸台を維持できませんでした。

    次に、貸家だけでなく住宅市場全体が前月の確認水準へ届いたかを見ます。

    全住宅は839戸。3か月平均の1,000戸台回復は未達でした

    全住宅は、持家・貸家・分譲住宅・給与住宅を合計した戸数です。2026年6月は839戸で、前年同月の644戸を195戸、30.3%上回りました。

    4〜6月の3か月移動平均は886.0戸です。前年同期の694.7戸から27.5%上昇していますが、前月の998.7戸からは112.7戸下がりました。

    5月号では、全住宅の3か月移動平均を1,000戸以上にするには、6月に1,181戸以上の着工が必要としました。実績は839戸で、目安を342戸下回りました。

    指標 貸家 全住宅
    2026年6月の単月着工 496戸 839戸
    前年同月比 +64.2% +30.3%
    3か月移動平均 557.3戸 886.0戸
    前年同期比(3か月移動平均) +74.5% +27.5%

    貸家も全住宅も前年同期を上回っています。しかし、6月はどちらも3か月平均を下回り、4〜5月の高い水準をそのまま引き継いだわけではありません。

    複数月の基調は前年より強い一方、月ごとの着工には案件の申請時期や工事の集中による振れがあります。

    次月以降も同じ水準が続くかを確認する必要があります。

    貸家比率は59.1%。供給の比重はなお高い

    6月の全住宅839戸のうち、貸家は496戸でした。貸家比率は59.1%です。

    4〜6月の貸家比率の3か月移動平均は62.8%でした。単月では60%を下回りましたが、直近3か月では住宅着工の6割強を貸家が占めています。

    ここでいう貸家比率の高さは、すぐに空室増加を示す数字ではありません。着工は完成・募集より前の供給側の意思決定であり、市町村、間取り、家賃帯、駐車場条件までは統計から分かりません。

    ただし、同じ条件の新築が増えるエリアでは、完成後に募集競争が強まる可能性があります。県全体の比率を見た後は、自分の物件に近い供給を分けて確かめることが大切です。

    年次の需給を見るときは、世帯の増え方も重ねる

    月次の増減を読むときは、年次の世帯増加と全住宅着工も補助線になります。

    2025年の沖縄県は、全住宅着工9,916戸に対し、世帯純増は8,645世帯でした。着工・世帯純増倍率は1.1倍です。

    世帯の増加を少し上回る住宅が着工したことを示す目安ですが、県全体の倍率だけで個別物件の需給は判断できません。

    同年の貸家比率は沖縄県50.2%、全国43.9%でした。沖縄は全国より貸家の比重が高いため、県全体の供給量に加え、自分の物件と競合する新築の条件を確認する必要があります。

    世帯増加や県全体の着工は、個別エリアの空室率や賃料を直接示すものではありません。それでも、月次の着工がどの程度の供給圧力になり得るかを考える出発点になります。

    着工統計を募集や保有判断につなぐ、3つの比較

    まず、単月の前年比と3か月移動平均を分けます。6月は前年同月比が大きくプラスでも、3か月平均は前月から下がりました。

    次に、県全体の着工と自分の物件の競合供給を分けます。市町村、間取り、専有面積、駐車場、想定家賃帯が異なれば、同じ貸家着工でも影響は同じではありません。

    最後に、新築供給と既存物件の競争力を分けます。近隣の募集件数、募集賃料、共益費、初期費用、設備、入居可能時期を並べると、値下げ以外に整えられる条件が見えやすくなります。

    2026年6月の県全体の数字だけでは、特定の物件に空室リスクが生じたとは判断できません。けれども、同条件の新築予定や募集物件を月次で追う理由は明確になります。

    競合供給を比べる順番は、エリア・間取り・駐車場です

    県全体の貸家着工が増えたときは、最初に「どの新築が自分の物件と競合するか」を絞ります。市町村だけで終わらせず、実際に入居者が比較する生活圏まで確認すると、県全体の数字をそのまま当てはめずに済みます。

    次に、間取りと専有面積をそろえます。単身向けとファミリー向け、同じ間取りでも専有面積が大きく違う物件は、募集上の競合が異なるためです。

    最後に、駐車場の台数と料金を並べます。車利用が前提になりやすい地域では、家賃だけでなく駐車場条件が比較の入口になることがあります。

    比べる順番 そろえる条件 確認する材料
    1. エリア 市町村・生活圏 新築予定、完成予定、同条件の募集件数
    2. 間取り 間取り・専有面積 想定する入居者、募集賃料、設備
    3. 駐車場 台数・料金 空きの有無、追加料金、募集条件

    この3条件をそろえた後に、新築予定・完成予定の物件と、現在募集中の物件を横並びにします。募集賃料だけでなく、共益費、初期費用、設備、入居可能時期まで見ると、値下げ以外に見直せる競争条件を整理できます。

    同条件の新築供給が増え、募集条件も近い場合は、競争が強まる可能性を早めに確認します。反対に、県全体の着工が増えていても、自分の物件と同条件の供給が見当たらなければ、県全体の数字だけで賃料や募集条件を変える根拠にはなりません。

    次月に確認したいのは、600戸台への復帰と全住宅の持続性

    今回の貸家3か月移動平均は557.3戸でした。次月は、これが再び600戸台へ戻るのか、500戸台にとどまるのかを確認します。

    全住宅の3か月移動平均は886.0戸で、1,000戸台への回復は未達でした。7月の単月着工が加わったとき、前年同期比のプラスが維持されるかも確認点です。

    2026年6月は、前年同期より高い供給水準を保ちながら、4〜5月の勢いは一服した月と読めます。

    着工増を安心材料や警戒材料のどちらか一方に寄せず、3か月平均、競合エリア、実際の募集条件を重ねてみると、自分の物件で確認すべきことを整理しやすくなります。

     

    ※出典:沖縄県土木建築部 建築指導課「住宅着工統計(月次)」、対象:2026年6月。国土交通省「建築着工統計調査 住宅着工統計」(e-Stat 統計コード:00600120)。e-Stat「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」、沖縄県・2025年。