以下は、公益社団法人沖縄県不動産鑑定士協会「第23回 沖縄県不動産市場DIレポート(R7.11月)」[一般公開版、R8.1月]をもとに、一般の方にも分かりやすい形で整理した記事原稿です。
0. まずDIって何?
DIは、ざっくり言うと「現場の人が景気をどう感じているか」を数字で表したものです。
この調査では、不動産会社の回答を集めて、次のように見ます。
- DIがプラス: 「上向き」と感じる人が多い
- DIがゼロ前後: 「横ばい」と感じる人が多い
- DIがマイナス: 「下向き」と感じる人が多い
大事なポイントは、DIは「実際の成約価格そのもの」ではなく「体感の温度感」だということです。
なので、DIは方向を見るのに向いています。
なお『P』 は「ポイント」を意味し、絶対値が大きいほどその傾向(上向き/下向き)が強いと読めます。
1. 今回の調査で分かったこと
今回の調査時点は令和7年11月1日です。
対象は、過去半年(令和7年5月1日〜11月1日)の実感と、今後半年(令和7年11月1日〜令和8年5月1日)の見通しです。
発送1,510件、有効回収280件、回収率18.5%でした。
ジャングリア開業の影響については、県全体で「影響がある(非常にある・ややある)」が45%、「今後可能性はある」が26%でした。
ただし地域差が大きく、北部以外では「ほぼない・全くない」が多い結果です。北部でもこの2つで50%でした。
地価DIは、住宅地と商業地がプラスを維持しています。
住宅地は9期連続プラス、商業地は8期連続プラスです。
一方で軍用地は12期連続マイナスでした。
取引件数DIは、宅地・マンション・戸建・軍用地のすべてがマイナスでした。
特に軍用地は-58.7P(強いマイナスで、取引減少の体感がかなり強い水準)で、調査開始以降の最低値です。
賃貸では、賃料DIはプラスを維持しました。
共同住宅賃料は+23.3P(上昇感が比較的強い)、店舗等賃料は+14.1P(上昇感はあるが共同住宅より弱い)です。
ただし前回より伸びは弱くなっています。
言い換えると、空室期間が長引いたり、募集条件(賃料・礼金・フリーレント等)の調整が必要になる場面が増える可能性があります。
特に店舗等の-9.1Pは共同住宅より5.9P低く、店舗・事務所の方が厳しさを感じやすい状態と読めます。
2. どう読むと分かりやすいか
今回のポイントは「同じ方向に動いていない」ことです。
簡単に言うと、価格や賃料は上向き感が残る一方で、取引件数や稼働率は弱い、という状態です。
また、北部とそれ以外で温度差があります。
北部ではジャングリア関連の問い合わせ増などの声がある一方、県全体で見ると影響は限定的という見方も多く、まだら模様です。
3. 沖縄の不動産にどう影響するか
売買市場では、「売りたい価格」と「買える価格」の差が広がりやすい局面です。
取引件数DIが全体に弱いので、強気の価格設定だと時間がかかる可能性があります。
賃貸市場では、賃料は上がりやすい一方、埋まりやすさは弱くなっています。
つまり「家賃は上げたいが、空室は出やすい」という難しい状態です。
軍用地は地価DIも件数DIも弱いため、住宅地や商業地と同じ感覚で判断しない方が安全です。
4. ValueLab的な整理(売る・持つ・活かす・買う)
- 売る: 高値狙いだけでなく、売却期間が長引くリスクも見込んで価格を決める。
- 持つ: 家賃だけでなく、空室対策コストや募集期間も含めて収支を見る。
- 活かす: 北部のテーマ需要は波がある前提で、用途を1つに絞りすぎない。
- 買う: 値上がり期待だけでなく、貸しやすさ・売りやすさ(流動性)を重視する。
5. すぐ結論を出さない人向けの見方
今は「強い」「弱い」を一言で決める時期ではなく、指標のズレを観察する時期です。
次回DIで、次の3点がどう変わるかを追うと判断しやすくなります。
- 取引件数DIがマイナスから戻るか
- 稼働率DIのマイナスが続くか
- 北部の動きが県全体へ広がるか
この3つを見ながら、急がずに判断するのが現実的です。
※本稿は、公益社団法人沖縄県不動産鑑定士協会「第23回 沖縄県不動産市場DIレポート(R7.11月)」[一般公開版、R8.1月]をもとに再構成しています。
