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海邦総研:沖縄経済レポートから読み解く

目次

1. レポートの要点整理(事実のみ・評価なし)

本調査は、県内に本社を置く1,489社を対象に実施され、有効回答は516社(回収率34.6%)である。
企業の景況感は BSI(上昇−下降) で示され、2025年10–12月期の全体景況判断BSIは +5.6、2026年1–3月期の見通しは +7.7 とされている。

業種別では、不動産業等(+10.8)、情報通信業(+12.5)、製造業(+10.0)、旅行・宿泊業(+7.2)が「上昇」超となった。一方、医療・福祉は「下降」超であった。

観光関連では、2025年11月まで 48か月連続で入域観光客数が前年比増
11月単月は 約89.4万人 と過去最高水準が続いている。

一方で、ほぼ全業種で 人手不足感が強く、従業員数BSIは +44.6(不足超)
特に建設業・飲食サービス業で顕著とされている。


2. 背景にある構造・前提条件の整理

このレポートは「成長しているか否か」ではなく、前期と比べてどう変化したかを示す調査である。
BSI(景況判断指数)がプラスであっても、成長の“勢い”や“持続性”を保証するものではない点が前提となる。

今回の特徴は、

  • 観光・建設・不動産など 需要側は堅調
  • しかし 人手不足・コスト上昇が供給制約として存在
    という、供給ボトルネック型の構造である。

特に建設分野では、新築着工戸数が 2025年に1万戸を下回る見通しとされ、資材高・人手不足が住宅供給の制約要因として明示されている。


3. 沖縄の不動産市場にどう影響しうるか

(価格/賃料/需給/行動変化)

価格

地価は引き続き「上昇基調」とされているが、その背景は 需要増というより供給制約にある。
価格上昇=需要過熱と短絡的に解釈するのではなく、建てられない・供給が追いつかない結果として読む必要がある。

賃料

観光・サービス業の回復は雇用を下支えする一方、人件費や生活コストの上昇が同時に進行している。
賃料については「上げられるか」ではなく、入居者の実質負担が耐えられる水準かが判断軸となる。

需給

新築供給が抑制される中で、中古住宅・既存ストックの活用価値が相対的に高まりやすい構造が示唆される。ただし、リフォーム市場も人手不足により供給制約がある点は留意が必要である。

行動変化

レポート内では、県内需要・県外需要・海外需要の動向が景況判断要因として頻繁に挙げられている。
これは、不動産においても 「誰が使う・住む・借りるのか」 をより明確に分けて考える必要性を示している。


4. ValueLab的な判断整理

─「売る・持つ・活かす・買う」のどれに効くか

  • 売る
    価格水準だけで判断するより、供給制約が一時的か構造的かを見極める材料として使える。
    短期的な高値判断には向かない。
  • 持つ
    需要は堅調だが、運営コスト(修繕・管理・人件費)も上昇局面にある。
    保有中の耐久性・更新計画を再確認する材料になる。
  • 活かす
    新築が難しい局面では、既存物件の用途転換・改善余地が相対的に意味を持つ。
    人手不足前提で「手間を増やさない活用」が鍵。
  • 買う
    成長期待ではなく、供給制約下でも成立する立地・需要層かを見極めるための環境整理資料として有効。

5.記事から「不動産市場を見る上での要点」

・今回のレポートから読み取れる市場の方向性

レポート全体が示しているのは、需要が失速している市場というより、需要は存在するが、供給や運営が追いつきにくい市場という姿です。
観光・不動産・建設などの景況感は「上昇」超で推移していますが、同時に人手不足やコスト高が強く意識されており、拡大のスピードには自然な上限がかかっています。

このため、市場は一方向に勢いよく進むというより、伸びと詰まりが同時に存在する状態にある、と整理できます。


・不動産判断において、今後意識しておきたい変化の兆し

今後意識しておきたいのは、「価格がどうなるか」よりも、市場の動かしにくさがどこに現れてくるかです。
新築供給の鈍化、人材不足、工期の長期化などは、一時的な景気要因というより、構造として残りやすい兆しとして読み取れます。

こうした環境では、不動産の価値が
「新しいかどうか」
「立地が良いかどうか」
だけでなく、運営しやすさ・維持しやすさによっても差がつきやすくなります。


・数字よりも観測しておきたいポイント

BSIや観光客数といった数値そのものより、現場でどんな声が増えているかを観測しておくことが重要になります。
特に、
・忙しいが人が足りない
・売上はあるが利益が残りにくい
・価格は上げたいが上げ切れない

といった感覚がどの業種・エリアで強まっているかは、不動産市場にも間接的に影響します。

数字は結果ですが、現場の余力や無理のかかり方は、少し早く兆しとして表れやすい部分です。


・判断を急がない場合でも、押さえておくと役立つ視点

すぐに売る・買う・動かすといった判断をしない場合でも、
「なぜ今の水準が維持されているのか」
「どこが変わると状況が動き出しそうか」
という問いを持って読むことで、このレポートは十分に意味を持ちます。

特に、
・新築が増えにくい理由
・既存ストックが相対的に注目されやすい背景
・表面の好調さと、運営側の余裕のギャップ
こうした点を頭の片隅に置いておくだけでも、将来判断が必要になった際に、考え直すための土台として役立ちます。


※出典:株式会社海邦総研「県内景気調査結果(2025年10–12月実績、2026年1–3月見通し)」

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