以下は、りゅうぎん総合研究所「県内の景気動向(2025年12月)を一次資料として、
沖縄不動産を中長期視点で整理する ValueLab 的な判断材料として構成した記事原稿です。
(出典:りゅうぎん総合研究所・2026年1月29日公表)
1. レポートの要点整理
県内景気は28か月連続で「緩やかに拡大」とされている。
消費関連では、スーパー売上高が4か月連続で前年を上回り、来店客数の増加が確認されている。
一方、百貨店売上高は3か月連続で前年割れとなった。
建設関連では、公共工事請負金額が前年同月比+56.6%と大きく増加したが、セメント・生コン出荷量は6か月連続で減少している。
観光関連では、入域観光客数が49か月連続で前年超えとなり、国内客・外国客ともに増加が続いている。
主要ホテルの稼働率・売上高・宿泊収入も前年を上回った。
雇用面では、新規求人数は前年同月比▲6.6%と減少が続く一方、有効求人倍率は1.08倍で横ばい。
消費者物価指数は前年同月比+3.1%と上昇が続いている。
2. 背景にある構造・前提条件の整理
今回のレポート全体を通して読み取れる前提は、「需要は動いているが、供給側に制約が残る構造」である。
観光需要は国内外ともに堅調で、人流・消費の回復が続いている。
一方、建設分野では資材価格の高止まりや人手不足が明示されており、量的な拡大がそのまま供給増につながりにくい状況が続いている。
また、消費は一律に強いのではなく、スーパーと百貨店の動きに差が出ており、「価格意識を伴った選別消費」が前提条件として存在している。
3. 沖縄の不動産市場にどう影響しうるか
(価格/賃料/需給/行動変化)
まず価格面では、公共工事や観光関連投資が下支えとなる一方、資材価格・人件費の高止まりが建築コストを押し上げる要因として残る。
このため、新築供給が急増する環境とは言い切れない。
賃料については、観光・サービス業の持続的な稼働が、那覇市周辺や観光動線沿いの居住需要を底支えする可能性がある。
ただし、雇用統計では新規求人が減少しており、賃料上昇が一律に進む前提は置きにくい。
需給の観点では、分譲住宅の着工が増える一方、貸家の着工は減少しており、賃貸供給は限定的である。
これはエリアによっては需給バランスの差を広げる要因になりうる。
行動変化としては、「今すぐ拡大する」というより、様子を見ながら判断を積み重ねる動きが合理的になりやすい局面と読める。
4. ValueLab的な判断整理
└「売る・持つ・活かす・買う」のどれに効くか
- 持つ
観光需要と公共投資が底堅い環境では、立地と用途が合致している物件は、急いで動かず保有を継続する判断が検討対象になる。 - 活かす
建替えや新築よりも、既存ストックの用途見直し・改修の方が現実的な選択肢として効きやすい。特に人流が戻っているエリアでは検討余地がある。 - 買う
「価格が上がる前提」でなく、需給が崩れにくいエリアか、賃料が耐えられる構造かを確認する局面。判断軸の精度が問われる。 - 売る
市場全体の過熱感を示す数値は限定的であり、短期的な高値期待だけでの判断材料は乏しい。個別事情が主因になる。
5. 不動産市場を見る上での要点整理
今回のレポートから読み取れる市場の方向性
今回のレポート全体からは、需要は動き続けているが、供給は制約を抱えたまま推移している構図が読み取れる。
観光客数や宿泊関連の指標は堅調に増加しており、人の流れそのものは止まっていない。
一方で、建設分野では資材価格の高止まりや人手不足が明示されており、需要の回復がそのまま供給拡大につながる環境ではないことが前提として残っている。
市場全体としては、急な転換点にあるというより、構造を維持したまま時間が進んでいる状態と整理できる。
不動産判断において、今後意識しておきたい変化の兆し
表面的な景気指標が堅調に見える一方で、内側ではいくつかの変化が同時に進んでいる。
消費動向では、百貨店とスーパーの動きに差が出ており、価格や実用性を意識した選別消費が続いていることが示唆される。
また、新設住宅着工では分譲が増え、貸家が減少しており、住まい方・供給形態の偏りが静かに進んでいる。
これらは急激な変化ではないが、将来の需給バランスやエリアごとの差として表れやすい兆しといえる。
数字よりも観測しておきたいポイント
数値そのものよりも、数字の裏側で何が起きているかを観測しておくことが重要になる局面といえる。
たとえば、観光客数の増加が「どのエリアに」「どの時間帯に」「どの滞在スタイルで」表れているのか。
あるいは、建設資材の出荷量が減少する中で、実際の現場では「着工が遅れているのか」「計画自体が見直されているのか」。
こうした現場感覚に近い情報は、価格や件数の数字以上に、中長期の不動産判断と相性が良い。
判断を急がない場合でも、押さえておくと役立つ視点
すぐに売る・買うといった結論を出さない場合でも、自分の立ち位置を確認する視点を持っておくことは有効である。
具体的には、その物件や検討エリアが「観光需要」「生活需要」「公共投資」のどれに支えられているのかを整理すること。
また、供給が増えにくい環境が続く中で、代替されにくい要素(立地、用途、管理状態)が何かを把握しておくことも、判断の軸になりやすい。
これらは結論を出すための材料ではなく、結論を先送りするための整理として役立つ視点になります。
