― 過去最大9,468億円の「中身」と、不動産・地域への効き方 ―
はじめに|数字の大きさより「どこに、なぜ使うか」
あなたも「過去最大の予算」と聞くと、景気が良いのか、それとも将来へのツケなのか、少し立ち止まりたくなりませんか。
令和8年度の沖縄県一般会計当初予算は 9,468億円(前年比+574億円、+6.5%)。県政史上、初めて9,000億円を超える規模です。
ValueLabでは、この数字そのものよりも、
①何を優先し、②どの分野に厚く、③将来にどう影響するか
という「判断の材料」を整理して見ていきます。
1. 全体像|拡大予算だが、性格は「防衛+継続投資」
今回の予算編成は、「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」の折り返し年という位置づけです。
特徴は次の3点に集約できます。
- 社会保障・人件費など義務的経費の増加
- こども・子育て、教育への重点配分
- 防災・公共インフラなど“止められない投資”の継続
いわば、「攻めの拡張」よりも
既存の社会を維持し、壊さないための予算という性格が強い構成です。
2. 歳出構造から見る優先順位|暮らし直結型が中心
義務的経費は3,295億円(全体の約35%)
人件費・扶助費・公債費を合わせた義務的経費は前年比+118億円。
特に目立つのは、
- 公立小学校教職員給与費の増加
- 奨学・就学支援、給食費無償化など教育系支出
これは人口構成と制度対応の結果であり、短期的に削りにくい固定費です。
👉 ValueLab的には
「将来の財政自由度は、ここが下がらない限り広がらない」
という前提を再確認するポイントになります。
3. 投資的経費|不動産・地域に効くのはここ
投資的経費は 1,379億円(前年比+32億円) と微増にとどまりますが、中身は重要です。
主な増加事業:
- 防災危機管理センター整備(+38億円)
- 道路など社会資本整備(+15億円)
- 警察署新庁舎建設など公共施設更新
派手さはありませんが、
立地評価・地域の安心感・将来の土地利用に効く投資が続いています。
不動産目線では、
- 災害対応力の向上=居住・事業継続リスクの低下
- 公共施設更新=周辺エリアの「選ばれ続ける理由」づくり
として、中長期では確実に効いてくる分野です。
4. 首里城・観光・交通|「点」より「線」の整備
首里城復興関連事業や、公共交通の利便性向上、離島・過疎地域対策も継続されます。
重要なのは、単体事業ではなく、
- 観光
- 交通
- 文化資産
- 生活圏
を線でつなげ直そうとしている点です。
ValueLab的には、
「一時的な観光需要」ではなく
“住める・働ける・回遊できる”地域設計かどうかが評価軸になります。
5. 財政の裏側|基金取り崩しは要注意サイン
今回の予算は、歳入増を見込みつつも、
財政調整基金・減債基金の取り崩しでバランスを取っています。
令和8年度末の基金残高は、前年より大きく減少する見込みです。
これはすぐに危険という話ではありませんが、
- 次の不況局面
- 災害・想定外支出
に対するクッションが薄くなることを意味します。
👉 不動産投資や事業判断では、
「行政が今後どこまで支えられるか」も
リスク想定に含めるべき段階に入っています。
まとめ|この予算から、どう判断に使うか
令和8年度当初予算(案)をValueLab的に整理すると、次のように見えます。
- 予算規模は過去最大だが、性格は「維持・防衛型」
- こども・教育・生活基盤への配分は厚い
- 不動産や地域価値に効く投資は“地味だが継続”
- 一方で、財政の余力は少しずつ削られている
つまり、
「今すぐ伸びる」より、「簡単には崩れない沖縄」をつくる予算です。
判断をする立場としては、
- 短期の価格変動に振り回されない
- 行政投資が“積み上がる場所”を静かに見る
そんな姿勢が、これからの沖縄ではより重要になっていきそうです。
